【天皇賞・春】(1)アイアンバローズ 波乱演出した石橋と運命コンビ!初G1挑戦も臆さず

[ 2022年4月29日 05:30 ]

CWコースで追い切るアイアンバローズ(撮影・亀井直樹)
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 偉大な父のリベンジだ。大波乱となった12年天皇賞・春。圧倒的1番人気に支持された前年の3冠馬オルフェーヴルが11着に大敗し、列島に衝撃が走った。あれから10年。今年産駒4頭が父の雪辱に挑む。筆頭格は阪神大賞典2着のアイアンバローズ。出走馬唯一の木曜追いで抜群の動きを披露した。また、28日に決まった枠順は2強がそろって8枠に入り、波乱の気配も漂う。

 最終追いのトリを務めたのは阪神大賞典2着から逆転をもくろむアイアンバローズ。木曜追いの意図を「あえて馬場の悪い中でやる必要はない」と上村師は説明した。やや重といくらか水分は残っていたが、不良馬場だった前日とは雲泥の差だ。ここに指揮官の配慮と繊細さが感じられる。

 CWコースに姿を現したアイアン。500キロ前後の馬体は威圧感を放ち、雄大なフットワークが目をくぎ付けにする。テンに抑えた分、全体時計は遅かったがラストは引っ張り切りで6F83秒4~1F11秒9。あふれる前進気勢。上村師は満足げに口を開いた。

 「今日は疲労が残らない程度に余裕を持たせてやりました。ゴールしてからも余力があった。最終調整としては合格点でしょう」

 阪神大賞典2着後は短期放牧でリフレッシュ。大舞台に向けて思い通りの上昇カーブを描く。

 「前走は休み明けで幾分余裕残し。2コーナーでこすられて、あそこから力んでしまったが直線は最後まで食い下がっている。以前は精神的にコントロールしづらい面もあったが解消され結果につながってきた。コントロールが利くのも成長だと思う」

 気難しさはもろ刃の剣だが制御が利けば勝負根性に転化される。指揮官は「(父の)オルフェからいいところをたくさん受け継いでいる。スタミナも勝負根性も。心肺機能に優れ、距離に融通が利く。メンタル面の強さが最大の武器」と話す。

 初めてのG1挑戦にも臆さない血が流れている。鞍上はくしくもオルフェーヴルが大敗を喫した12年天皇賞・春の優勝騎手、14番人気の伏兵ビートブラックを勝利に導いた石橋脩だ。ここにも運命的なものを感じる。

 「3回乗って癖はつかんでもらっている。本人がよく理解してくれているから」と指揮官は全幅の信頼を寄せる。10年前の父の無念を晴らすのは、優れたステイヤー資質を受け継いだアイアンと石橋だ。

 《1枠1番吉兆枠》吉兆だ。アイアンバローズが引いた1枠1番は12年に今回の鞍上・石橋がビートブラックで大金星を挙げたスタートポジション。もちろん上村師は大歓迎だ。開口一番、「絶好(吉兆枠/)枠じゃないですか」。続けて「真ん中より内寄りがいいと思っていた。変に来られてこすられるより、内でポンと出していければ」とマイペースでの先行策をイメージ。「追い切りも良かったし、枠もいい」と終始ご機嫌だった。

 ▼12年天皇賞・春VTR 単勝1・3倍に支持された前年の3冠馬オルフェーヴルの大敗を誰が想像できたか。戴冠は14番人気(単勝159・6倍)の超伏兵ビートブラック。ゴールデンハインドがハナを切りビートが2番手。後方16番手からのスタートとなったオルフェは勝負どころでも動けず抵抗すらできなかった。逆にまんまとマイペースに持ち込んだビートは後続に4馬身差をつける完勝。国内外21戦で12勝を挙げたオルフェが生涯味わった最大の屈辱がこのレースだった。 

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2022年4月29日のニュース