【秋華賞】ホウオウイクセルの鬼脚!忘れられない強豪撃破のフラワーC

[ 2021年10月15日 05:30 ]

厩舎周りで運動するホウオウイクセル(撮影・郡司 修)
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 トレセンの最前線で取材する記者が、気になる穴馬に迫る秋の新企画「G1リベンジャーズ」。第2弾「秋華賞」の3日目は東京本社の田井秀一記者がホウオウイクセル(高柳瑞)を取り上げる。大出遅れで勝負にならなかった前哨戦の結果だけで人気を落とすようなら絶好の狙い目になる。

 全てはゲートが開く瞬間に懸かっている。ホウオウイクセルの前走紫苑S(13着)は、晩年の父ルーラーシップをほうふつさせる大出遅れ。ゲート扉が開くと同時に後肢2本で立ち上がり、1秒以上の痛恨のロスがあった。鞍上の丸田が「青ざめた」と振り返る致命的な不利で一瞬のうちにレースが終わってしまった。

 春からゲート駐立に危うさはあったが実戦で悪癖がもろに災いしたのは初めて。勝ち馬ファインルージュを0秒8も上回る、メンバー最速のラスト3F33秒4の鬼脚を繰り出しても後の祭りだった。鞍上は「スタートが全て。それでも、あれだけ脚を使えることは分かった。今回は出てくれると信じるしかない」。まともに出れば、フラワーCでのちのオークス馬ユーバーレーベン、フローラS覇者クールキャットを完封した脚力がものを言う。

 リベンジへ。中間は入念にゲートを練習。高柳瑞師が手応えを口にする。「前走は練習からうるさかったが今回は落ち着いているので大丈夫だと思う。スタートさえ出ればチャンスがある。しっかり練習を積んできた」。弱点克服に加え、体質強化で春より強い負荷の調教をこなすこともできている。前走は桜花賞比で24キロ増。成長分はもちろん、本番に備え余裕も持たせた。「(フラワーCから中2週で)馬体を維持しなければならなかった桜花賞とは全然違う」と万全の仕上がりでG1を迎える。

 デビューから手綱を取り続けてきた丸田は10度目のG1挑戦に夢を抱く。「稽古からハミをしっかり取って走っていた。前走より確実に状態は上がっている。楽しみ」。2代母は97年の優勝馬メジロドーベル。奥深いDNAがもたらす成長力はライバルに決して引けを取らないはずだ。“スタートが決まれば”の注文はつくが、再発防止に全力を注いできた陣営はリベンジを信じている。

 《昨年4着パラスアテナと共通点》高柳瑞厩舎は5度目のG1挑戦で、これまでの最高着順は昨年の秋華賞パラスアテナの4着。ホウオウイクセルとパラスアテナは父ルーラーシップ×母父スペシャルウィークの血統、末脚勝負タイプなど共通点が多い。コースが違うとはいえ、昨年もそうだったように、このレースは入れ替わりが激しい“魔の秋華賞ペース”になることも。後方勢に展開利があるペースなら、12番人気の低評価を覆して上位争いを演じた先輩ホースを上回る結果も見えてくる。

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2021年10月15日のニュース