【児島・グランドチャンピオン】やったぞ49歳!前本 完璧逃げで2度目のSG制覇

[ 2021年6月28日 05:30 ]

第31回グランドチャンピオンで優勝し、ポーズをとる前本泰和
Photo By 共同

 ボートレース児島のSG「第31回グランドチャンピオン」は27日、12Rで優勝戦が行われた。予選5位から逆転で優勝戦1号艇を手にした前本泰和(49=広島)がインから逃げ切り13年グランプリシリーズ以来、2度目のSG制覇。今年早くも8回目の優勝(通算127、当地13)を飾った。優勝賞金3300万円を獲得し、今年の獲得賞金で3位に浮上。2着は2マークの混戦をさばいた菊地孝平。3着には湯川浩司が入った。

 ゴールの瞬間、感情を解き放つかのようなこん身のガッツポーズ!

 「シリーズの時は恥ずかし気味にやったんで(苦笑い)。いつか本当のSGを獲りたいと思ってたんで、一番になったぞ、って意味で指を1本立てました」

 前検日から手応えを感じていた。2連対率32%の21号機。目立たぬエンジンが水面に降り立った瞬間、光りを放った。誰と足合わせしても一緒か強めだった原田幸哉をぶっちぎったのだ。今年に入って10優出7V、1着59本、勝率8・35。絶好調を支えた“自信”の調整は最高峰の舞台で“確信”に変わった。

 「伸びはいいけど、好みの足じゃない。もっと手前に持っていきたいですね」

 コメントは毎日似たものだったが、相棒への信頼は深まっていった。それを象徴するシーンが準優だ。

 2コースから気合のコンマ03を決めた前本に対し、試運転の転覆で足落ちしていたイン峰は08。節イチの伸びを誇る前本がライン後その差を広げたが、寄せるどころか逆に外の原田を止めに行った。記者席からは「捲らんのかい!」の声も飛んだが、誰だって捲りたい。艇界No・1男を沈めたら、どれだけ気持ちいいか。しかし、前本は我慢した。もし峰が意地の猛抵抗に出たら大敗の可能性すらある。構えて差せば最低でも2着はとれる。“優出さえすれば何号艇でもチャンスのある足”だからこそ、レーサーの本能を押し殺し、かじを外に切ったのだ。

 そんな前本に天も味方した。優勝戦の1号艇が転がり込んできたのだ。「準優の1号艇がみんな飛ぶというのはなかなかないことなので、流れを逃さないよう強い気持ちで行きました」。6号艇の松井も動きを見せず楽な起こし。「スタートは少し様子を見たけど、いいのが行けましたね」。トップSは白井に譲ったが、すぐさま伸び返す。1Mでは2コースの菊地が握って攻めてきたが「(握って)来るだろうと思って、合わせて回りました」。最大のライバルの動きを読み切れるほど、心は落ち着いていた。それだけ心強い味方が背中にいたのだ。

 「勝ててホッとしましたね。賞金ランク3位浮上?グランプリに6位以内で行けるよう意識して一走一走走っていきます」
 2度目のSG制覇はSGの中のSG、胸張るグランドチャンピオン。その誇りを胸に、年末の大舞台に立つ。 

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2021年6月28日のニュース