母馬にはなれなかったけど…。良血牝馬オハギ“第二の馬生”でイイ仕事を目指します!

[ 2021年6月16日 18:52 ]

1歳馬の“遊び相手”を務めるオハギ(右)(レイクヴィラファーム提供)
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 一般的に良血と言われる牝馬は、レースで目立った成績を残せなくても、繁殖牝馬(=母馬)になれるケースが多い。まして、兄が海外G1勝ち馬となれば尚更だ。しかし、それにも例外はある。2戦0勝の成績を残し、5月24日にJRAの競走馬登録を抹消したオハギ(牝3、父モーリス)。一昨年の香港ヴァーズを制したグローリーヴェイズ(牡6、父ディープインパクト)の半妹という良血だけに、本来ならば繁殖牝馬となるところだが、現在は生まれ故郷の北海道洞爺湖町・レイクヴィラファームでリードホースとして過ごしている。

 リードホースとは、人間でいえば保育士のような存在。離乳した後の当歳や1歳の群れを精神的に支えるリーダー的な役割の馬のことだ。なぜ、母馬になれなかったのか、レイクヴィラファームのマネージャーの岩崎義久氏(42)が明かす。

 「レイクヴィラファームはすべての生産馬をセリに上場するマーケットブリーダーです。ただ、オハギは競走馬としては極端にサイズが小さいこと、そして脚元がかなり悪かったことから、売ることができず、牧場の名義で走らせました。「オハギ」という馬名は、小さな頃から牧場スタッフに呼ばれ、愛されてきた幼少名なんです。血統的には繁殖牝馬にしたかったのですが、サイズの問題であきらめることになりました」

 現在は、昨年からリードホースとなったトリオンフ(セン7、重賞3勝)やホウオウドリーム(牡7、母はメジロドーベル)とともに“修行”の日々だ。ただ、新しい“職場”には心強い先輩がいる。G1・6勝を挙げた名牝メジロドーベル(牝27)。16年に繁殖牝馬を引退した後は、リードホースとして多くの馬を育ててきた。岩崎氏は「いつかはドーベルのようになってほしい」とオハギにエールを送る。

 「オハギは1歳の群れにまじっても小さいぐらいですが、いろんな経験を積んできた分、どっしりと構えていますね。キャピキャピする女の子を『はいはい』と受け流していますよ。ドーベルは素晴らしいリードホース。群れをまとめることはもちろんですが、まだ離乳していない子馬と、離乳した子馬への対応の違いには驚かされます。母馬のことも尊重し、無駄な干渉をしない。離乳馬には自分から寄り添うんです。オハギの目指すところはドーベル姉さんですね」

 繁殖牝馬として血を残すことはできなかったが、リードホースとして“後輩”を育てる大事な役目を担った。オハギの“第二の馬生”での活躍を願いたい。

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