【ダービー】エフフォーリア100点 “鋼の筋肉”バランスよく付いてる

[ 2021年5月25日 05:30 ]

鈴木康弘「達眼」馬体診断

エフフォーリアの立ち姿
Photo By 提供写真

 昨年の無敗3冠馬コントレイルを漢字1字で表すなら「柔」。今年、無敗で2冠獲りに挑む馬は…。エフフォーリアの力感あふれる立ち姿に触れ、「剛」の文字が思い浮かびました。

 510キロ超の馬体は各部位の隅々に至るまで屈強。コントレイルが柔軟な筋肉の持ち主なら、こちらは鋼のように強じんな筋肉を前後肢にバランス良く付けています。背中から腰にかけては力強さに加えて奥行きと余裕がたっぷりある。初の2400メートルも全く苦にしない体形。キ甲(首と背中の間の膨らみ)がまだ抜けていないのに首差しは抜けている。“寝肩”といって肩(肩甲骨)も滑らかに傾斜しています。この奇麗に抜けた首差しと寝肩が完歩の大きなダイナミックなフットワークを生む。広い東京コースで本領を発揮できる前躯(ぜんく)のつくりです。

 後躯に目を移せば、強固で絶妙な角度の飛節がトモのパワーを逃さず推進力に変えています。超一流馬の条件ともいえる機能性を備えたつくり。仕上がりにも狂いがありません。肋(あばら)がパラッと浮いた、太からず細からずの腹周り。毛ヅヤも良好…。

 実は満点を付けた皐月賞時も同じ指摘をしました。1カ月半を経て変化した点はないか。前回の馬体写真と比較してみると…。同じです。ダメージがない代わりに成長した点も見られない。良くもあしくも不変。皐月賞で3馬身の決定的な差をつけた3歳世代のトップホースにとって、変わらないことが一番でしょう。

 力強い立ち方も1カ月半前と一緒。力みのない穏やかな顔つきをしながら、気持ちを入れるように前肢に負重をかけています。身心一如。剛の肉体に剛の精神が宿る。コントレイルが「柔」なら、金太郎あめのようにどこを切り取っても「剛」の模様が浮かぶ姿で挑む大一番。「柔よく剛を制す」とは有名な故事ですが、「剛よく柔を断つ」とも言います。剛強な力は柔軟なものを断ち切れるとの意味。昨年よりも強いダービー馬の誕生を心待ちにしたい。

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2021年5月25日のニュース