夏競馬の“新格言”3歳馬を狙え!降級制度廃止から1年…条件戦での4歳馬不振は必然に

[ 2020年6月16日 05:30 ]

先週の日曜東京12Rでは3歳馬が1~3着を独占(撮影・西川祐介)
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 新格言を探れ!!昨夏から「4歳夏の降級制度」が廃止され、馬券攻略の鍵が一変した夏競馬。新たな予想のよりどころを求める読者の声に応え、スポニチ競馬データ班は、制度変更前後を比較して傾向の変化を徹底検証。導き出した結論から馬券に役立つ新たな格言を提言する。

 競馬ファンにとっての夏の風物詩「降級馬」が消えてから1年がたった。降級制度は、4歳夏を迎えた競走馬の収得賞金(クラス区分のための指標で、1着および重賞2着時に加算)が半額され、下のクラスに再び出走が可能となるもの。降級馬は1度突破したクラスに“出戻り”するわけなので当然、力は上。「降級馬を狙え」は長らく競馬ファンの間で確立された定説だった。

 夏競馬はどう変わったのか。新ルール導入初年度となった19年と前3年(16~18年)の夏競馬(6~8月)のデータを比較する。降級廃止の影響を受けない重賞・オープンでは数字に目立った変化はなし。一目瞭然なのが、条件戦での4歳馬の成績下降だ。1~3勝クラス全てで勝率が大幅ダウン。単勝回収率も軒並み落ちており、馬券的妙味もほとんどない。降級できなくなった4歳馬の不振は必然だろう。

 一方で、“天敵”だった降級馬不在の恩恵を最も享受したのが3歳馬だ。現行ルールとなって1~3勝クラス全てで勝率、連対率、単勝回収率が上昇。特に2勝クラスでは、勝率25・3%と驚異の数字。ハイレベルになりやすい「3歳1勝クラス」を勝った実力馬なら、2勝クラスの壁を突破することなどたやすいようだ。3歳馬の中でも、2勝クラスに出てくる馬は黙って買い目に入れておくべき。

 さらに深掘りする。前走重賞で敗れて、夏競馬の条件戦を使ってきた3歳馬は昨夏の通算で【19・5・5・28】。勝率33・3%、3着内率は50%を超える。単勝回収率は190%。前走2桁着順の馬でも【10・1・3・15】と平気で巻き返してくるので、馬券的にもオイシイ。重賞敗戦を糧に夏競馬で再出発。その船出はほとんどが順風満帆となっている。また、4角1~3番手の3歳馬は昨夏の勝率が24・0%で、単勝回収率は157%。重量負担が軽く、先行馬は簡単には止まらない。

 3歳馬の活躍に隠れがちだが、5歳馬も降級馬不在で成績を伸ばしている。1~2勝クラスでも順当に勝率をアップさせているが、馬券的に面白いのは3勝クラス。このクラスに出てくる3歳は、春の重賞で賞金を加算したり、夏競馬で勝ち上がった馬がほとんど。名が知られ“人気先行”の3歳勢に、5歳馬が古馬の威厳を示すケースが昨年は目立った。勝率、連対率は前ルール時代とほぼ変わらないが、単勝回収率は175%!!3勝クラスには古馬の壁がある、と頭の片隅に入れておきたい。

 新格言は「夏競馬は3歳馬を買え」。プラスアルファの要素として「3歳1勝クラスの勝ち馬」「前走重賞組」「先行脚質」の3つを押さえる。これに、「3勝クラスでは5歳馬が反撃」をスパイスとして加えれば、夏競馬攻略は朝飯前?!(特別取材班)

 ≪日曜東京12Rでは1~3着独占で万券≫今年も3歳勢の勢いは継続中。先週も日曜東京12R(1勝クラス)では、4頭出走の3歳馬が1~3着を独占。1、10、6番人気の決着で3連単4万9180円。土曜阪神7R、日曜東京7R(ともに1勝クラス)も3歳勢が1~3着で3連単は万馬券だった。また、3連単100万超の高配当が飛び出した日曜函館7R(1勝クラス)も4頭出走の3歳馬が1、3着に入っていた。2勝クラスでは東京10R・芦ノ湖特別で、「3歳1勝クラス」を勝ち上がっていた3歳馬2頭がきっちりワンツー。新格言で夏競馬攻略だ。

 ≪生産頭数増え制度改革≫降級制度はそもそも、競走馬資源不足の解消を目的に導入された。古馬に有利な同制度により競走馬の現役期間を長くすることで、出走頭数確保を目指してきた。生産頭数が増えた現状ではその必要がなくなったと判断。JRAは「2勝クラスが組まれている夏季主場や第3場のメイン競走を、オープン、3勝クラスで開催できる」「ファンに分かりやすい競走条件制度になる」と制度改革の狙いを説明している。

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