競輪・静岡ダービー59年ぶり中止…コロナ対策で苦渋の決断

[ 2020年4月25日 05:30 ]

静岡競輪場全景
Photo By スポニチ

 新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から静岡市は24日、5月5~10日に静岡競輪場で開催される予定だったG1「第74回日本選手権競輪(ダービー)」を中止すると発表した。ダービーは一年に6回行われるG1の中でも最高峰に位置付けられている。ダービーが中止となるのは、後楽園競輪(72年閉場)で予定されていた61年以来で59年ぶり2度目。昨年は松戸競輪場で開催され脇本雄太(31=福井)が優勝、6日間で135億円を超える売上があった。

 静岡市の定例記者会見で田辺信宏静岡市長は苦渋の表情で静岡ダービーの開催中止を明らかにした。「断腸の思いではありますが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のため、中止することを決定いたしました。これまで、競輪ファンの皆さんに楽しんでいただきたいという思いで、無観客による開催を模索してまいりましたが、無観客であっても開催にあたっては、どうしても参加選手や関係者の移動を伴うことから、この先の感染拡大を左右する重要なこの局面において苦渋の決断をしたところです」とコメントした。

 7日に東京など7都府県で緊急事態宣言が出されたことを受けて、東京、神奈川、埼玉では一斉に開催が中止され、G3の平塚記念、西武園記念も行われなかった。16日には緊急事態宣言が全国に拡大されたことで、各地で開催を見合わせる施行者(地方公共団体)が続出していた。24日現在、全国にある競輪場43場のうち、開催を予定していた30場が中止を発表する事態となっている。今回のダービーはG1の中でも小倉競輪祭とともに6日間のロングラン開催となる。参加選手は競輪最多の162人を数え“密”を避けるのは容易なことではない。

 本紙評論家で、ダービー優勝4回を誇る吉岡稔真氏は「静岡ダービー中止は本当に残念です。ダービーを待っててくれた地元ファン、そして全国の競輪ファンの方々も残念な気持ちと思います。今の状況だから(中止は)仕方ないと思いますが、今の状況だからこそ開催してほしかった気持ちもあります」と無念の表情で語った。

 ▽日本選手権(ダービー) 1年間の賞金獲得上位者が選抜され、6日制で行われているG1。優勝賞金6500万円(副賞を含む)で現在開催されているG1の中で最高額を誇る。第1回は49年に大阪住之江競輪場(現在は廃止)で「全国争覇競輪」という名で開催され、第17回の64年から現在の名称に変更された。昨年は松戸で開催され、脇本雄太が33年ぶりに完全優勝を果たした。 

 ▼松浦悠士(29=広島)残念です。グランプリの後はダービー王を目指していたやっていたので。自分のモチベーションのダメージはあるが、感染拡大につながるのであれば仕方ない。自宅にいるファンに楽しみを与えられたらいいなと思いレースを走っているが、選手や関係者の身の安全もあるので。協力できることはしなければいけない。
 ▼村上博幸(41=京都)正直、落胆が大きい。今は次の開催が行われるか分からない状況で、もしかして…と感じていた。大変な時期なので仕方ない部分はある。
 ▼中川誠一郎(40=熊本)こういう状況なのでしようがない。決まったことを考えても仕方ない。ゆっくりして充電期間に充てます。
 ▼深谷知広(30=愛知)残念だが、いろいろと考えての選択だと思うので。次に向けて自分たちにできることをやるしかない。その場の状況に応じて全力で取り組む。

 ▼JKA笹部俊雄会長 歴史と格式を誇る第74回日本選手権競輪が中止になることは誠に残念ではありますが、新型コロナウイルス感染症が日本全国に広がる中、これまで開催に向けて準備にご尽力されたにもかかわらず、新型コロナウイルス感染拡大防止のため静岡市が下した苦渋の決断であり、やむを得ないことと存じます。開催を楽しみにされていたお客さまと争覇に向き合う参加選手に対しましては、多大なるご迷惑をおかけしますことに、何とぞご理解を賜りますようお願い申し上げます。

 競輪は、地方財政への寄与並びに社会貢献など公益性の高い事業を通し、長きにわたりお客さまに愛されてきました。
 
 日本選手権競輪の中止は、競輪界にとって大きな痛手を被る事態となりましたが、無観客開催を引き続き実施していくため、関係者一丸となって新型コロナウイルス感染防止に最善の努力を払ってまいりますので、ご理解ご支援のほどよろしくお願い申し上げます。

続きを表示

2020年4月25日のニュース