【フローラS】人馬重賞初Vへ踊るマリリン!横山武「素軽さがあった」

[ 2020年4月23日 05:30 ]

3頭併せで追い切る横山武史騎乗のウインマリリン(中央)(撮影・西川祐介)
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 人馬の“サラブレッド”が狙う重賞初勝利。2着までにオークス優先出走権が与えられる「第55回フローラS」(26日、東京)の追い切りが22日に美浦トレセンで行われた。好調・横山武史(21)が騎乗するウインマリリンに注目だ。名手・横山典弘(52)を父に持つ若き腕利きのリードで、樫切符を手中に収める。

 ウインマリリンの調教を終えた横山武が、持ち前の人なつっこい笑顔を見せている。伝わってくるのは相棒の充実度だ。弱冠21歳で現在、関東日本人騎手トップタイの22勝。本人は「昨年の年末に減量がなくなってからもペースを崩さず乗れている。本当に周りに恵まれている。これからもおごらずに」と周囲への感謝を口にした。

 オークス切符獲りへの最終リハはWコースで。リラックスした走りで道中をクリアすると、直線は3頭併せの真ん中。横山武が鼓舞すると軽いフットワークで一気に加速した。調教駆けするオータムレッド(3歳オープン)と併入なら十分。スピード感たっぷりの走りに、鞍上は「前回より状態は良いと思います。素軽さがあったし、元々ハミに頼って走る馬だけど、今日は(体が)立っていた」と好感触だ。

 父はJRA通算2793勝、重賞176勝で、今もファンの想像を超える騎乗を連発する横山典。息子も「天才肌」と思われがちだが、今の好調は不断の努力が招いた結果だ。横山武は「父は奇麗なアメリカンなフォームで追えるんですけど、自分は骨格的な面もあって合っていなかった。専門家の方のアドバイスでヨーロピアンなフォームに変えたんです」と説明。腕主導から膝を支点にしたフォームへの改造。競馬学校時代から慣れ親しみ、憧れの父と同じフォームからの脱却を図った。「簡単に言えば馬への圧のかけ方が違うんです。(フォーム改造は)凄く大変で時間もかかった」と好調の要因を明かした。

 ウインマリリンは自身の手綱なら2戦2勝。「器用な馬だし、全然物おじしないんですよね。元々、長い距離が合っていると思っていたので」と、あくまで狙うのはオークス切符だ。18回目の重賞挑戦で初勝利、そして先に見据える昨年ダービー(リオンリオンで15着)以来のG1騎乗。それでも「こっちが高ぶっても仕方ないので自然体で乗りたいです。走るのは馬なので」とニコニコ笑顔。人馬からあふれる“大物感”が、ここも通過点と思わせてくれる。

 〇…競馬学校で主に教える騎乗フォームがぶれの少ないアメリカンスタイル。腕力に頼る面が多いのが特徴。一方、膝を支点にしたダイナミックなフォームがヨーロピアンスタイル。日本でも活躍するムーアやマーフィーのように馬上で体を動かして馬を動かす。横山武は「まだ2つが合わさったような中途半端な形になることがある…」とフォーム改造の難しさを語るが、少しずつ習得への手応えを得ているようだ。

 ◆横山 武史(よこやま・たけし)1998年(平10)12月22日生まれ、茨城県出身の21歳。幼少期より騎手を目指し、17年3月に美浦・鈴木伸厩舎所属でデビュー。同年4月16日の福島9RヒルノサルバドールでJRA初勝利。JRA重賞は今月11日のニュージーランドT(ウイングレイテスト)の3着が最高。JRA通算1957戦124勝。1メートル61・6、45・3キロ。目標の騎手は父・横山典弘。

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