四位、無観客の引退式「幸せな騎手人生」 最終日の通算1586勝目

[ 2020年3月1日 05:30 ]

胴上げされる四位洋文騎手(中央)(撮影・後藤 大輝)
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 07年ウオッカ、08年ディープスカイでダービーを連覇するなどJRA・G1・15勝を挙げた四位洋文(47)が、29日の阪神でラスト騎乗。3Rで通算1586勝目を挙げた。1日からは調教師に転身する。また、今週がラストウイークの山内研二師(70)、作田誠二師(70)も白星を挙げた。

 阪神競馬場のスタンドにファンはいない。ただ、ウイナーズサークルは熱気にあふれていた。騎手・関係者ら約100人が囲んだ中で、四位は声をかすらせながらも涙をこらえ、映像を通して全国の競馬ファンに語りかけた。

 「デビュー当初はここまで長くジョッキーを続けられると思っていなかった。ダービーを2つも勝たせてもらったし、幸せな騎手人生でした」

 ラストデーはまさに“四位劇場”。3Rをハンメルフェストで勝利して通算1586勝目。ゴールの瞬間、スタンドは無人なのに小さな歓声が響いた。「“ワーッ”という声が聞こえてきて…。なんかアットホームな感じだったよね」と、騎手仲間の声援が耳に届いて喜んだ。

 ところが5Rナリタアレスでは、直線で内側に斜行し騎乗停止処分。今日から調教師になるため、この騎乗停止(発表は14~21日)に実効力は伴わない。

 引退セレモニーでターフビジョンに流れる栄光の足跡。騎手仲間によって5度、宙に舞った四位はすっかり晴れやかな顔だった。

 「自分の中では2月29日が区切り。3月1日からトレーナーとして立場が変わる。というか、今夜のサウジアラビアのレースを見る目がそうかな。また、これから忙しくなる」

 07年ウオッカ、08年ディープスカイでダービーを連覇。騎手としての夢をかなえ、続く夢の一つに「ダービートレーナー」があるのは当然だ。

  ▼武豊 四位がまだ騎手見習の時「こんなに奇麗なフォームで追えるんだ」と驚かされたことを覚えている。その後、ジョッキーとして超一流の活躍をしたし、最初に感じた僕の目に狂いはなかったですね(笑い)。後輩らは四位を面倒見のいい兄貴分、と接しているけど、年上の僕からすると彼はライバル。馬への接し方に独特な感性があるので、いい調教師になると思いますよ。

 ▼横山典 残念。本物のジョッキーがやめるのはつらい。思い出がたくさんあり過ぎるし、まだ実感が湧かない。それでも今後も同じ職場にいるわけだから、また頑張ります。

 ▼福永(日本騎手クラブ副会長として花束贈呈)特別な先輩ですからね。デビュー前から一番、可愛がってもらいましたし、公私ともにお世話になりました。僕が知る限り、最高のホースマンだと思います。

 ◆四位 洋文(しい・ひろふみ)1972年(昭47)11月30日生まれ、鹿児島県出身の47歳。91年に騎手デビュー。4年目の94年4歳牝馬特別(ゴールデンジャック)で重賞初勝利。JRA通算1万3919戦1586勝(重賞76勝)。JRA・G1は15勝。07年ウオッカ、08年ディープスカイで日本ダービーを連覇。

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