【京成杯AH】横典トロワ レコードV!52キロでしてやったりの逃亡劇

[ 2019年9月9日 05:30 ]

京成杯AHを制した横山典弘騎乗のトロワゼトワル(撮影・西川祐介)
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 秋競馬開幕週は東西で驚がくレコード連発に沸いた。サマーマイルシリーズ最終戦「第64回京成杯AH」が8日、中山競馬場で行われ、4番人気トロワゼトワルが1分30秒3のJRAレコードで重賞初制覇。同シリーズは昨年に続き優勝該当馬なしとなった。阪神メインのサマースプリントシリーズ最終戦「第33回セントウルS」はタワーオブロンドンが1分6秒7のコースレコードで制し重賞4勝目。逆転でサマースプリント王に輝いた。

 鞍上とどんな会話をしたのだろうか。会心の逃げ切り勝ち。デビューから13戦で一度も逃げたことがないトロワゼトワルを、コンビ3度目の横山典は迷いなくハナに導いた。

 「開幕週で馬場も良く、重量52キロ。この馬の持ち味はこういう乗り方。思いきって行った」と鞍上。スイスイと後続との差を広げ、前半3Fを33秒3で通過。その時点で2番手プールヴィルは10馬身後ろ。3番手ジャンダルムはさらに5馬身後ろだ。直線でも脚色が衰えることなく、後続に影も踏ませず3馬身半差でゴール。今年のヴィクトリアマイルでノームコアが刻んだ1分30秒5のJRAレコードを、0秒2縮めた。

 安田隆師が「凄いペースでどうなるか怖かった」と肝を冷やした大逃げ。それでも横山典は「見ての通り。皆さんは速いなと思ったかもしれないが、この馬には速くない。切れるタイプではないし、52キロとセーフティーリードも利いた。何といっても出来が良かった」。驚くことは何もないと言いたげな涼しい顔だ。

 今後について明言を避けた師だが、「(古馬)初オープンで壁があると思ったが突破してくれた。次走は千六か千四と思いますが、もうちょっと考えさせてください」とうれしい誤算に笑みが止まらなかった。

 東西メインともレコード決着。「馬場造園課の努力のたまもの。素晴らしい馬場だった」と鮮やかなグリーンの芝を前に名手は笑顔を見せた。毎年、4月の第3回中山終了後に芝が張り替えられる。5カ月後のこの第4回開催は唯一、野芝だけで行われ、開幕週はまさに絶好の馬場になる。

 12年の当レースでは、レオアクティブが当時のJRAレコード1分30秒7を記録。その鞍上は横山典。中団後ろから、直線は内ラチ沿いを突いて伸びた。開幕の絶好馬場を知り尽くした名手は同レース最多タイの5勝目。トロワゼトワルから新たな強さを引き出し、鮮やかにレコード決着を演出した。

 ◆トロワゼトワル 父ロードカナロア 母セコンドピアット(母の父ハーツクライ)牝4歳 栗東・安田隆厩舎所属 馬主・社台レースホース 生産者・北海道千歳市の社台ファーム 戦績14戦5勝 総獲得賞金1億2118万7000円。

 ≪マイルレコード更新10度目≫84年グレード制導入以降、芝1600メートルのJRAレコード更新は今回で10度目。うち6回が京成杯AH(前身の京王杯AHを含む)で更新されている。春開催終了後、約5カ月空けて開幕する秋の中山は馬場のコンディションが絶好。昭和から平成を経て令和となっても速い時計が出る芝が変わらず受け継がれている。

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