【新潟記念】ユーキャン&ジナンボー 金子馬ワンツー!夏の終わりに2大巨星の夢を見た

[ 2019年9月2日 05:30 ]

岩田康誠騎乗のユーキャンスマイル(右)はM・デムーロ騎乗のジナンボー(左)と競り合い新潟記念を制する(撮影・西川祐介)
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 2大巨星が天国で握手しているかもしれない。夏競馬を締めくくるサマー2000シリーズ最終戦「第55回新潟記念」が1日、新潟競馬場で行われ、後方インから馬場の中央を抜けた2番人気ユーキャンスマイルが制して重賞2勝目。8月9日に急死した父キングカメハメハに白星をささげた。2着は7月30日に急逝したディープインパクト産駒のジナンボー。大種牡馬2頭の現役時と同じ、金子真人HDの勝負服がゴール前で叩き合った。夏競馬のフィナーレは2つの巨星の偉大さを改めて知る熱戦となった。 レース結果

 同じ金子真人HDの勝負服による火花散る叩き合い。先に先頭に立ったユーキャンスマイル。外からジナンボーが襲いかかる。岩田康・ユーキャンがはね返す。最後はグイッと首差、前に出た。2月ダイヤモンドS以来の重賞2勝目。国内最高峰の天皇賞・春(5着)に挑んだ貴重な経験がG3でものをいった。

 岩田康が馬名通りの笑顔を浮かべる。「久しぶりの2000メートルでどうかと思ったが馬自身、力をつけていて追走も楽だった。道中インから4角で真ん中に出したが凄く楽な競馬だった。最後は必死に馬に“頑張れ”と言った」

 友道師は14年マーティンボロ、15年パッションダンスに続く新潟記念3勝目。「久々の距離が心配だったが左回りと広いコースが合うと思っていた。天皇賞の頃はまだ体がしっかりしていなかった。北海道で休ませたのも良かった」。デビュー2戦目の17年12月未勝利戦2着以来、実に1年9カ月ぶりの2000メートルも問題なし。指揮官のジャッジが光った。

 父は8月9日に急死した父キングカメハメハ。1日まで全国の競馬場で献花(607件)、記帳(2万506件)を受け付けた。まるでファンへのお礼代わりのような産駒のJRA重賞116勝目だった。叩き合った2着ジナンボーの父はディープインパクト。平成競馬の象徴は7月30日に天へと駆け上がった。大種牡馬を立て続けに失い、競馬ファン、関係者の喪失感は相当なものがあったが、“僕らはいなくなっても子供たちがいるから…”という声が、天から聞こえてきそうなゴール前だった。

 父に背中を押されたユーキャンスマイルの前途は明るい。「左回りの広いコースが合う。天皇賞・秋(10月27日)とジャパンC(11月24日)を目指したい」(同師)。僚馬マカヒキ、ワグネリアンと同じ土俵で悲願のG1に挑戦する。

 偉大な2頭を失った令和の夏。だが、産駒が競馬をさらに盛り上げていくこともはっきりと分かった、夏の終わりだった。

 ◆ユーキャンスマイル 父キングカメハメハ 母ムードインディゴ(母の父ダンスインザダーク)牡4歳 栗東・友道厩舎所属 馬主・金子真人ホールディングス 生産者・北海道安平町ノーザンファーム 戦績12戦5勝 総獲得賞金1億7690万2000円。

 ◇3年ぶり 金子真人HDによる重賞ワンツーは16年新潟大賞典(パッションダンス、フルーキー)以来。15年宝塚記念でもワンツー(ラブリーデイ、デニムアンドルビー)を決めている。

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