令和最初のダービー馬ロジャー引退…急死の父ディープ後継種牡馬へ

[ 2019年8月7日 05:30 ]

令和最初の日本ダービーを12番人気で制したロジャーバローズ
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 今年のダービー馬ロジャーバローズ(牡3=角居)が右前浅屈腱炎のため引退、種牡馬入りすることが6日、決まった。通算6戦3勝。近日中に競走馬登録を抹消する。7月30日に急死したディープインパクトの産駒。秋には父が果たせなかった凱旋門賞(10月6日、パリロンシャン)制覇を目指していたが、無念の引退となった。

 ロジャーバローズは令和最初のダービーを制した後は放牧を挟み、先月19日に栗東トレセンに帰厩。渡航に向けて調整を進めていたが、坂路を駆け上がったのは4日が最後。「先週から気にはなっていた」(角居師)と違和感があったという。6日朝にトレセンの診療所でエコー検査を行い、右前浅屈腱炎が判明。9カ月以上の休養を要する見込みと診断され、電撃引退が決まった。角居師は「残念ですが、オーナー(猪熊広次氏)と相談して、種牡馬入りすることになりました。けい養先については、これから決まると思います」と無念の表情で話した。

 師は故郷の石川県で祖母の代から始まった天理教の教会を継ぐことを理由に、21年2月限りで引退することを既に表明。「オーナーからは“休養から戻ってきても先生がいなくなっているかもしれない。他の先生が預かっても以前の成績を残せないかもしれないし、迷惑になるかもしれないから”と言っていただきました」と明かした。

 ラストランとなったダービーは、浜中を背に12番人気で大金星V。「いいタイミングで勝てて良かったと思います」と改めて感謝した。日本の至宝ディープインパクトの産駒。「貴重な血ですし、生産に帰さないといけないですからね」と話した。

 近親にG1・7勝馬ジェンティルドンナがおり、4歳からの早期種牡馬入り。生産界の期待は大きい。引退を聞いた浜中は「自分をダービージョッキーにしてくれた馬。早い時期の引退は残念です」と惜しむ一方で「命を落とすようなケガではなかったのは幸いでした。ディープインパクトもなくなって、後継種牡馬としていい子孫を残してもらいたい。子供でダービーに挑めたらいいなと思います」と2世への思いも口にした。令和最初のダービー馬は早すぎる引退となったが、偉大な父の後継として第二の馬生を歩むことになる。

 《優駿ラストラン86回の中で11頭》ダービー制覇が最後の競走となった馬はダービー86回の歴史でロジャーバローズを含めて11頭いる。10戦全勝で51年ダービーを制したトキノミノルはダービー制覇17日後に破傷風で急死。その死は一般紙にも大きく取り上げられ「幻の馬」と称された。97年サニーブライアンはダービーのレース後に骨折が判明。再起を目指した翌年に屈腱炎発症で復帰を果たせず。02年タニノギムレットは神戸新聞杯を目指していた9月初旬に屈腱炎で引退、種牡馬入りした。

 ▼屈腱炎 屈腱(浅屈腱もしくは深屈腱)にある一部の腱線維が切れる、あるいは変性することで、出血や炎症が起こる病気。肢勢、打撲、走行中に大きな負荷がかかることなどにより屈腱に刺激が加わることで発症する。“不治の病”と称されるように、治癒するまでに数カ月から数年間の長期間を要す上、完治は難しく再発しやすい。そのため、大事を取って引退する馬が多い。同じく右前屈腱炎を発症したカネヒキリが2度の幹細胞移植手術を経て復帰後に再びG1を勝利した例もある。

 ◆ロジャーバローズ 父ディープインパクト 母リトルブック(母の父リブレッティスト)牡3歳 栗東・角居厩舎所属 馬主・猪熊広次氏 生産者・北海道新ひだか町の飛野牧場 戦績6戦3勝総獲得賞金2億6875万6000円。

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