国枝厩舎一筋「ばか真面目」なアーモンド担当 根岸厩務員

[ 2019年5月31日 05:30 ]

アーモンドアイを担当する根岸厩務員(撮影・平松さとし)
Photo By 提供写真

 【競馬人生劇場・平松さとし】ドバイターフにおけるアーモンドアイを私は◯(対抗評価)とした。これに「ぶったまげました」と言ったのは根岸真彦調教厩務員だ。アーモンドアイの担当厩務員で、ドバイでは一緒に夜ご飯も共にし、散々エールを送っていたのだから彼が驚くのもうなずける。

 しかし、個人的な見解として強い馬と馬券を買える馬は別物と考えている。例えばディープインパクト。強かったが毎回圧倒的な1番人気。一度ハーツクライに負ければそれまでのもうけが吹き飛ぶ。だから馬券的には手を出せない馬だった。まして放っておいても日本馬の売れる海外でのレースとなれば買いづらく、アーモンドアイに◎は打てなかったのだ。

 そんな根岸厩務員がアーモンドアイと出合う約半年前にじっくりと話をしたことがある。1982年12月生まれで現在は36歳。2008年の初頭から現在の国枝栄厩舎の一員となると、以来、国枝厩舎ひと筋。有馬記念を勝ったマツリダゴッホや牝馬3冠馬アパパネを間近で見てきた。しかし…。

 「自分の担当馬に関するとG1はもちろん、重賞すら勝ったことがありませんでした」

 厩舎ではどの馬もスタッフが一丸となってみていたので嫉妬をすることはなかったが「自分ももっと頑張らなければ…」という気持ちは強くなり、一生懸命に汗を流し続けた。

 国枝師は笑いつつ言う。

 「インフルエンザにかかった時に“陽性でしたけど働けます”と厩舎に報告しに来るようなばか真面目なところがあります。もちろん“早く帰って休め”って言いました」

 そういった真面目な姿勢はやがて報われる。17年1月には担当していたタンタアレグリアで自身初の重賞制覇(AJC杯)を飾ると、その夏にはアーモンドアイと出合う。昨年の年度代表馬となった彼女の活躍は誰もが知るところだろう。

 今週の安田記念も私は◎を打たないだろうが、それを打ち負かす快走をされればそれはそれで仕方ないと思っている。(フリーライター)

続きを表示

2019年5月31日のニュース