【高松宮記念】スノードラゴン75点 菜七子の闘魂注入

[ 2019年3月19日 05:30 ]

活気は薄れるも筋肉の衰えは感じないスノードラゴン(撮影・郡司 修)
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 桜のつぼみが膨らむ春の彼岸を迎えると、小林一茶の有名な俳諧(かい)歌「老木桜」を思い出します。「浅ましの 老木桜や 翌(あす)が日に 倒るゝまでも 花の咲く哉(かな)」。明日にも枯れ倒れてしまいそうな桜の老木がまさか花を咲かせるなんて…と老木桜の底力に感嘆した一首です。

 桜のような小さな白い花で知られるユリ科の常緑多年草「スノードラゴン」から命名された芦毛馬もすでに11歳。6歳でスプリンターズS(14年)を制した壮年の面影は見いだせません。5年前といえば、私もまだ現役調教師で同レースにセイコーライコウ(7着)を送り出しました。十年一昔といいますが、消長の激しい競馬の世界では5年で一昔になってしまいます。スノードラゴンも変わって当然。被毛が一層白くなると同時に、活気も薄れていきました。白い老木が所在なげにたたずんでいるような立ち姿。それでも、筋肉の衰えはほとんど感じさせません。昨年の高松宮記念(9着)の馬体写真と見比べて見ると…。むしろ、鼻腔(こう)に力強さを感じます。

 今回の焦点は薄れた活気を新パートナーがいかに引き出せるか。藤田菜七子に与えられた使命です。パドックでまたがってからゲートに入るまでが最初の勝負どころ。闘争心を少しでも引き出せるように馬に刺激を与えることです。返し馬でハミをきつく取らせるとか、待避所での輪乗りで並足に強弱のアクセントをつけるとか…。あるいは、藤田なりのやり方もあるでしょう。G1初騎乗のフェブラリーSでコンビを組んだコパノキッキングはテンションの上がりやすい4歳セン馬。ゲートインまでにスキンシップを図って落ち着かせることが求められましたが、2度目のG1ではいかに活を入れられるかです。全く真逆の要求。11歳の老木に刺激を注入してほしい。

 老い木に花。もう花も咲かないだろうと思われる老木桜が開花することもある。小林一茶の俳諧歌を思い起こす春彼岸のG1です。

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