JRA後藤理事長 クラス分けの制度改正で面白い競馬を

[ 2019年1月4日 05:30 ]

いざ、新時代へ JRA後藤正幸理事長に聞く(下)

インタビューに答えるJRA・後藤理事長(撮影・郡司 修)
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 ――昨年は地方競馬の祭典JBCを京都で開催。

 「売り上げはJBC3競走合わせて秋華賞やマイルCSと同程度でしたが、4万人弱と多くのお客さんにお越しいただきました。JBCを多くの皆さんに知ってもらい、翌年以降の飛躍へつなげたいという地方主催者の思いには、お応えできたのではないでしょうか」

 ――今年から降級制度を廃止(※注1)し、クラスの名称も変更(※注2)。ファンに定着していたものですが、狙いは。

 「基本的に競馬の世界は優勝劣敗。勝ったら上に上がるというクラス分けの概念を明確にしていきたいのです。高条件の競走が増えることで結果的にレベルが高く、実力のきっ抗した面白い競走を提供できるはず。現行に慣れた方は違和感があるかもしれませんが、初めて競馬に触れる方にとっては、より分かりやすい形になると思います」

 ――昨年は歴史的な猛暑など厳しい気象条件が多かったですが、対策は。

 「お客さまや出走する人馬へ安心で安全な環境で競馬をお届けするのは競馬主催者の責務。その中で暑熱対策については、装鞍所や下見所にミストを設けたり、下見所の周回時間を短くしたり、さまざまな工夫をしています。こうしたハードの整備以外にも運用面で見直せることがさらにないか、検討を重ねていきます」

 ――17年からスタートした「HOT HOLIDAYS!」のプロモーションが3年目を迎えます。

 「キャンペーン開始当初は賛否いろいろとご意見がありました。ただ17、18年と続けてきて、競馬を知らない方々にはアピールできたという手応えを感じています。競馬の持つポジティブなイメージ、初めての競馬体験を誘う雰囲気づくりという、企画の意図は達成できたと思います」

 ――今年の変更点は。

 「3年目は“ケイバ場が、あるじゃない?”というコピーをつけて、レジャーの選択肢に競馬場があることを若い競馬未経験層にアピールします。CMにはこれまでの松坂桃李さん、高畑充希さん、柳楽優弥さん、土屋太鳳さんに、20歳の中川大志さん、葵わかなさんが加わります。2年間で競馬を覚えてきた4人が、全く知らない2人を今度は競馬の道に誘っていく…という展開を考えています」

 ――すっかり定着した「UMAJO」は好評です。

 「女性の視線でいろいろなプロモーションを検討したチームが12年にUMAJOとして立ち上がったわけですが、競馬場に来場される女性のお客さまは年々増えています。16年には年間100万人を超え、昨年は女性の来場比率が過去最高だった17年を超えて17・4%でした」

 ――さらに推進する。

 「当面は女性の来場比率20%を目指しますが、最終的には半分くらいが女性のお客さまになってもおかしくないと思っています」

 ※注1 現行は4歳春季競馬までに獲得した収得賞金を夏季競馬開幕時に2分の1としている(クラスが下がる=降級)が、今年からこれを廃止する。

 ※注2 今年の夏季競馬から、現行の500万下を「1勝クラス」、1000万下を「2勝クラス」、1600万下を「3勝クラス」と呼称変更する。

 ◆後藤 正幸(ごとう・まさゆき)1951年(昭26)10月3日生まれ、東京都出身の67歳。75年早大卒、JRAに入会。ニューヨーク駐在員事務所長、総合企画部長などを経て、06年理事、11年常務理事、14年に理事長就任。

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