絶妙ハンデで大接戦“演出”、3人1組で担当 展開なども考慮

[ 2018年7月4日 05:30 ]

大接戦となった12年の朝日チャレンジカップ
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 【馬好き人好き 裏方さんの仕事】夏競馬はサマーシリーズをはじめハンデ戦が目白押し。ハンデ戦攻略は馬券作戦の大きなポイントだが、そのハンデはどうやって決められているのか。JRA競走部上席ハンデキャップ役の山室賢治氏(52)に話を聞いた。

 ハンデを決めるハンデキャッパーは現在11人。毎週3人1組で1つの競馬場を担当する。日曜夕方に特別レース登録馬が確定してから月曜昼までに各人がハンデ案を作成した上で会議を実施。3者のハンデが一致しない場合は合議制で決定する。「各人のハンデが同じ馬で2キロ違うことはめったにありません。最も重い馬を何キロにするか、あとは昇級初戦の馬については差が出ることがあります」と山室氏。部署異動も少なくないJRAにあって、ハンデキャッパーはスペシャリストがそろう。山室氏は17年目。ハンデキャッパーとして主眼を置いていることは?「まずは登録した全ての馬の関係者にハンデにご納得いただいて出馬投票していただくこと。次に人気が割れること。そしてレースは接戦になるのが理想。そういう意味では断然人気になった馬が圧勝するとショックですね」と話す。

 ハンデ決定以外にはレーティング決定や調教再審査、障害試験の審査員なども務める。両トレセン所属のハンデキャッパーは調教も観察。「その後の出走時の参考にすることはありますが、1週前追い切りの動きでハンデを変えることはまずありません。同様に騎乗予定騎手や予想される馬場状態も考慮に入れません」。一方でレース内容については着順、着差だけでなく対戦相手や通った場所、展開なども吟味するという。

 印象深いレースには12年朝日チャレンジCを挙げる。1〜15着の着差が「鼻」「頭」「首」しかない大接戦。「こういうレースが増えるように、うまくハンデを付けていきたい」。サマーシリーズを連戦する馬の中には一戦ごとにハンデが変わる馬もいるはず。ハンデキャッパーの“見立て”に注目すれば、大きなヒントを得られるかもしれない。

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2018年7月4日のニュース