元船橋所属の中野省吾、マカオで騎手復帰 競馬への思い消えず

[ 2018年6月6日 05:30 ]

マカオ競馬で騎手復帰する中野省吾
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 衝撃の引退から2カ月。公営・船橋の元騎手、中野省吾(26)が新天地での騎手復帰を決めた。第二の騎手人生の舞台は、中国特別行政区マカオ。当地で競馬を主催するマカオジョッキークラブ(MJC)が4日、中野にジョッキーライセンスを交付すると発表した。ライセンスは8日から18年シーズン最終日の8月26日まで。7日に日本を出発し、最短で17日にマカオ・タイパ競馬場で再デビューする。

 免許試験不合格を告げられた翌日の3月16日、中野は「騎手はもういい。第二の人生を歩むつもり」と話したが、競馬への思いは消えていなかった。以前から海外で乗りたいと口にしていたが、免許失効が一つのきっかけになった。「馬が好き。競馬には乗りたいと思った。すぐに動きました」。いくつか海外の主催者に打診する中で4月16日、MJCからライセンス許可の知らせが来た。「不合格のときは落ち込む(渡辺薫)先生を見て心配をかけて本当に悪かったと思ったが、いつまでも落ち込んでいられない。今まで(海外に)行くって言って行けなかった。進むべき道が加速したとも感じた」。

 引退直後はひねくれた気持ちもあり、競馬を見る気も起きなかったという。近年を振り返り、週5日で競馬がある環境が自分に合わないと感じることもあった。「毎日が競馬で忙し過ぎて、自分の体調のこともあり、ろくでもないことをしてしまうこともあった」。この2カ月間は今までできなかったこともやってみた。「いろんな人に会ったりホストクラブでアルバイトしたりもした。自分の新しい才能が見つかればいいと思って」。そんな中でマカオ行きが決まり、気持ちにも変化があった。「時々は南関も見ていたけど、マカオが決まってからはまた違う視点で見られた」。

 我を押し通す過程で自分も周りも傷つけたが、新たな道ができた。「一番に先生に知らせてホッとしてもらえた。引退後にあまり否定的な声が聞こえなかったし、応援してくれる人もいた」。改めて自分を思ってくれる人がいることも感じている。

 「マカオの週1日の競馬は自分に合っていると思うので楽しみ。ジョッキーでいる間は、再び日本に乗りに来られるような、そんな騎手を目指すべきだと思っている」。再びステッキを握るからには前に進むだけ。その先に“逆輸入ジョッキー”としての道も見えてくるかもしれない。決意を新たにした中野が海を渡る。

 ◆中野 省吾(なかの・しょうご)1991年(平3)11月1日生まれ、富山県舟橋村出身の26歳。09年5月に船橋・渡辺薫厩舎所属で騎手デビュー。同年6月8日初勝利。10年南関東最優秀新人騎手賞を受賞。17年JRAワールドオールスタージョッキーズに地方代表騎手として出場するなど活躍したが、18年3月15日に地方競馬全国協会(NAR)が、度重なる制裁のため18年度の騎手免許試験不合格を発表。同31日付で失効となった。地方通算5455戦505勝(重賞1勝)、中央21戦0勝。

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