【NHKマイルC】ロードクエスト100点 腹下短い短距離体形

[ 2016年5月4日 05:30 ]

ロードクエスト

 関東2強の一騎打ちだ。鈴木康弘元調教師(72)がG1有力候補の馬体を診断する「達眼」。第21回NHKマイルC(8日、東京)では、ロードクエストとメジャーエンブレムを満点採点した。マイラー体形のクエストが皐月賞(8着)時を上回る立ち姿なら、桜花賞(4着)の雪辱が懸かるエンブレムは古馬のような完成度。共に完璧なボディーで4日の最終追い切りに臨む。

 ロードクエストの顔立ちを見ているうちに、懐かしさが込み上げてきました。額の下から鼻の上までくびれた特異な風貌。およそ30年前、重賞5勝を挙げて、私の厩舎を支えてくれたダイナフェアリーによく似た顔立ちをしているのです。一度見たら忘れられない、昭和の時代に走っていた新幹線の先頭部みたいな形状。鉄道マニアならご存じでしょう。当時の新幹線(0系、200系)の先頭形状は空気抵抗を減らすために設計された「鼻(ノーズ)」と呼ばれた流線形。そんな馬づらだから空気抵抗も少なく、より速く走れる…もちろん、ジョークです。レースには何の関係もありません。ただ、ひかり号君の左右に付いた立派な顎は競馬と大いに関わりがあります。

 旺盛な食欲をうかがわせる顎の張り方。皐月賞から中2週の間隔でも馬体にダメージ一つないのは、しっかり食べているからでしょう。トモ(後肢)の筋肉も全く落ちていない。それどころか、立ち姿には力強さが増しています。皐月賞時は前肢に負重をかけ過ぎていましたが、今度は後肢もしっかりと大地をつかんで立っている。充実ぶりがストレートに伝わってきます。

 皐月賞時の馬体診断でも書きましたが、首差しが太く、背中、腹下が短い典型的なマイラー体形。皐月賞は距離が長いと判断して80点の評価にとどめました。今度は最もふさわしい距離。タテガミに目を移すと、濡らしたブラシで付け根まで丁寧に手入れされています。厩舎担当者の愛情が注がれたタテガミの姿。30年前、私の厩舎のスタッフが丹念にブラッシングしていたのを思い出します。ダイナフェアリーによく似た新幹線形の顔立ち。体つきも満点です。1マイルを走るひかり号です。

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2016年5月4日のニュース