【天皇賞・秋】イスラボニータ手応えの先着“完全に目覚めた”

ウィズエモーション（左）と併せて追い切るイスラボニータ

　「第１５２回天皇賞・秋」の追い切りが２８日、美浦、栗東トレセンで行われた。昨年の皐月賞馬イスラボニータが迫力満点の走りを披露。復活を告げるチーター走法で盾獲りに大きく前進した。

　イスラボニータの追い切りを終えた蛯名が満足そうな顔で馬場から引き揚げてくる。「ようやく“らしさ”が出てきた。以前の素軽い動きが戻ってきた」と語りながら、黒光りする馬体に視線を向けた。

　Ｗコースで披露したのは、チーターを思わせる独特の素軽い走り。関節の柔らかさを生かして水平近くまで前肢を伸ばしながら加速していく。５馬身リードしたウィズエモーション（２歳未勝利）の内に進路を取ると、軽く仕掛けただけで半馬身かわした。前走・毎日王冠時には前肢が伸び切らず、影を潜めていたチーター走法がよみがえった。

　「休み明けを１度使って水っぽさが抜けてきた（馬体の脂肪分が取れてきた）のが大きい」と独特の言い回しで一変ぶりを口にするのが栗田博師。「前走時は病み上がり（左前球節不安による休養明け）でせいぜい八分半の仕上げ。半分眠っていたが、今度は完全に目覚めたようだ。目つきまで違うから」。馬場から現れたイスラボニータの眼光も獲物を追うチーターのように鋭い。「それでいて、ゆったりとした落ち着きのある並足をしている。前走時は息をつくるために攻めたから苦しい部分もあったが、それを乗り越えて体が楽になったのでしょう」と続けた。

　毎日王冠では八分半の仕上げでも見せ場たっぷりの３着。「天皇賞が見えてきたぞ」。レース直後、同師は確信に満ちた口調で言い放った。２２年前とオーバーラップする盾獲りの感触。「ヤマニンゼファー（９３年秋の天皇賞馬）は叩き良化型で毎日王冠着外（６着）から巻き返した。イスラボニータの体調も右肩上がりだ」。１番人気に支持された昨秋の天皇賞はルメールの代打騎乗で３着。「先頭に立つのが早すぎてソラを使ったが、そういう癖も正義（蛯名）は知り抜いているから」と主戦騎手に全幅の信頼を寄せる。

　前脚を水平に伸ばしながら昨年のＧ１戦線を席巻した東のエース。よみがえったチーター走法が復活Ｖを雄弁に伝えている。