【京王閣ダービー】新田ダービー王 平原、浅井との激戦“微差”制す

[ 2015年3月23日 05:30 ]

日本選手権の表彰式でイメージキャラクターの中村アンから祝福される新田

 次世代スピードスターが悲願のG1初優勝(4日制以上)――。G1「第68回日本選手権競輪」は22日、京王閣競輪11Rで決勝戦が争われ、最終バック6番手からまくった新田祐大(29=福島・90期)が押し切り優勝。ダービー王の栄誉と賞金6510万円(副賞含む)を獲得した。2着は写真判定の結果、新田に微差敗れた平原康多で車単(3)―(9)1220円(5番人気)の決着だった。

 G1最高峰のダービー決勝戦は新田、平原、浅井が横一線でゴール線を駆け抜けた。「接戦で誰が勝ったか分からない…」。全力を出し切った新田は、ビジョンのスーパースローを見て「(自分が)勝ったかな…」と思いながら引き揚げ、写真判定を待った。結果は“微差”で平原に勝ち、うれしいG1初制覇(4日制以上)。北勢の仲間の祝福を受けて新田は笑顔を振りまいた。

 新田にとってG1決勝戦は10回目。初のG1決勝舞台は08年7月の寛仁親王牌(優勝=山崎芳仁)。以降、2着が3回…。「福島の先輩のG1優勝を何度も見てきましたから、僕もいつか(G1を)勝ちたいと思って頑張ってきました」と感無量の面持ちで振り返った。

 届きそうで届かなかったG1タイトル。その中で起きた東日本大震災。新田は「自分に何ができるのか?」の思いから多くの病院や幼稚園を訪れた。そこでは「励ますつもりが逆に自分が勇気をもらった」という。この経験が「僕は福島の“ニッタユウダイ”として自転車で頑張る」の気持ちを強くした。

 翌12年にロンドン五輪出場。世界を相手に戦うことで視野も広げた。「多くの人に感謝の気持ちを持って走る」ことを実践。そしてダービー優勝で2年ぶりのグランプリ(12月30日=京王閣)出場も決めた。「今回はG1を勝って堂々と出場できるのでうれしい。賞金はトレーニングのために使う」とさらなる進化を目指す新田。心技体の充実ぶりを印象づけるダービー王が誕生した。

 ◆新田 祐大(にった・ゆうだい)1986年(昭61)1月25日生まれの29歳。福島県会津若松市出身。県立白河高卒。05年7月プロデビュー。通算成績は677戦214勝。通算取得賞金は4億3564万円。主な優勝はSSカップみのり(10年)、第68回日本選手権競輪(15年)。1メートル73、87キロ。血液型O。

 ≪微差とは≫タイヤ差(約3センチ)よりもわずかな着差で、審判がスリット写真を拡大して目視で決定する最少の着差。

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