【天皇賞・秋】マーティンボロ 出世遅れたディープ産駒が本格化

[ 2014年10月31日 05:30 ]

運動前、洗い場で装蹄されるマーティンボロ

 「第150回天皇賞・秋」の枠順が30日、確定した。今年は伏兵陣も多彩。夏の上がり馬マーティンボロは、日本産としては珍しい8月生まれ。5歳を迎えた今年、一気に素質を開花させた。遅れてきた大物がG1初出走初Vの快挙を狙う。同レースは31日、ウインズ新橋、後楽園で金曜発売される。

【天皇賞・秋】

 サマー2000シリーズを制した勢いで、G1に初挑戦するマーティンボロは、日本産としては珍しい8月(20日)生まれ。今年に入って重賞2勝(中日新聞杯、新潟記念)の快進撃は、この“遅生まれ”と無縁ではない。

 この馬はオーストラリアへの輸出を想定し、南半球の出産期(8~12月)に合わせて生産された。だが、馬インフルエンザなどの影響で、豪州の検疫条件が大幅に強化され輸出を断念した経緯がある。北半球産より約半年遅れで生まれてくる南半球産馬が日本で走る際は、成長差のハンデを埋めるためレースでの負担重量が軽減される。JRAの規定では南半球で7~12月に生産された馬は、条件によって異なるが1~4キロの軽減を最長で4歳8月まで受けられる。

 ところが、日本産のマーティンに、その恩恵は適用されなかった。初勝利は3歳8月。友道師は「未勝利を勝った時点で、普通に2歳でデビューさせた馬の年明けのような感じ。まだ馬も弱かったし、あの時点で重賞を勝つとは思っていなかった」と振り返る。その後は、4歳8月までに7戦し、降級を挟んで500万下を2勝。計3勝は全て小倉芝で「力が付き切っていないので、平たんで芝が軽い小倉でしか成績を残せなかった」と師は話す。

 ただ、成長差がありながら、重量軽減のない中での3勝はむしろ立派。その実力は、通常なら重量恩恵のなくなる4歳9月以降の成績に顕著に表れた。7戦して重賞2勝を含む【4・1・2・0】と、常に馬券圏内をキープ。それ以前が【3・1・2・7】だから、安定感は雲泥の差。肉体が同世代に追いついたことで、秘めていたポテンシャルを最大限に出力できるようになった。

 「時間はかかったが、無理使いせず、じっくりとやってきたことが実を結んだ。体がしっかりするにつれて精神面も成長。相手は強いけど、G1に出しても恥ずかしくない馬になった」と友道師。遅生まれのハンデと闘いながら、見事に素質を開花させたマーティン。異色のディープインパクト産駒は、ただの晩成馬ではない。

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2014年10月31日のニュース