【宝塚記念】フェノーメノ死角なし!向かい風負けず完璧折り合い

[ 2013年6月20日 06:00 ]

フェノーメノは強風の中、単走で軽やかな脚取り

 「宝塚記念」の最終追いで目を引いたのが、天皇賞・春でG1初制覇を飾ったフェノーメノだ。天皇賞・春同様、美浦Wコースで単走の最終メニュー。直線の強烈な向かい風に負けず、さらなる上昇をアピールした。

【宝塚記念】

 はるか遠くの台風4号の余波か。フェノーメノがWコースに脚を進めると、南南西の風は秒速6~7メートルと突然激しさを増した。天皇賞・春の最終追い同様、佐々木助手を背にWコースで単走。1週前追いの手綱を取った蛯名は報道陣と共にスタンド前で見守った。

 完璧な折り合い。豪快なストライド。ただ一点、前走と違ったのは残り100メートルで手綱が軽く動いた点だけ。6F83秒7~1F12秒6。3歳時の力みはすっかり消え、最後まで軽やか。ゴールを過ぎ去ると、蛯名から笑みがこぼれた。「楽そうに走っているから速く感じないけど、これで速いんだ。状態もいいからそう見えるのだろう」

 すっかり完成の域。無事に最終リハを終えた戸田師が切り出した。「直線の向かい風が急に強くなった時間帯だったので、気を抜かないよう100メートルだけ追った。仕掛けた感じではない。遊んで、何かあるといけないから」。さらに「速すぎず、遅すぎず。いいリズムで、集中して真っすぐ走っていた」と付け加えた。軽いアクションは、あくまでアクシデントの予防。馬なりだった前走とメニューは実質的に同じだ。

 他馬を寄せつけず、日経賞、天皇賞を完勝。特に前走はG1・3勝馬ゴールドシップに0秒9の決定的な差をつけた。昨秋のジャパンC(5着)でジェンティルドンナに0秒8差をつけられたが、目下の勢いならゴールド、ジェンティルを上回る。「落ち着きが出て、馬房のしぐさも風格が出てきた。4歳秋に馬は完成すると言われるが、全くその通り。馬がどんどん良くなっている」。指揮官は目を細めた。

 未体験だった関西遠征も前走でクリアした。2200メートルは昨秋のセントライト記念圧勝で経験済み。死角らしい死角が見当たらない。「あとは台風だけかな」と戸田師はポツリ。「パワーがある馬だから馬場は気にしていない。仮に道悪になった時は、みんな同じ条件だから。阪神に無事着いたが台風で中止…。なんてことが一番困る」。無事ゲート入りできれば大丈夫。東の横綱フェノーメノへの揺るぎない信頼が、その表情から読み取れた。

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2013年6月20日のニュース