【宝塚記念】梅雨前線がもたらすナカヤマナイトへの“追い風”

[ 2013年6月20日 06:00 ]

ウッドチップコースで追い切るナカヤマナイト

 【G1ドキュメント=19日】烈風が、かすれた笛のような音を立てながら吹きつける。最大瞬間風速20メートル超の直線向かい風。バランスを崩す馬、落ち着きを欠いて引っ掛かる馬、集中力を失って耳を左右に動かす馬…。トレセンに容赦なく襲った6月の嵐。「用心していけよ」。スタンドの調教師たちが馬場入りするスタッフに声を掛けているシーンを梅崎は何度も見た。

 ところが、ナカヤマナイトは6月の嵐もどこ吹く風。Wコースで柴田善の手綱にふわりと折り合った。安田記念時より厚みの増した栗色の馬体を弾ませながら直線へ。向かい風にもブレることなく、馬なりのままストライドを伸ばし、5F66秒5、1F13秒1を刻んだ。

 「強風の影響?全くないよ。既に仕上がっているので動きを見ただけだが、落ち着きがあるのがいいよね」。引き揚げてきた同騎手は事もなげに語る。「力を抜いてリラックスしていたな」。スタンドで見届けた二ノ宮師も口をそろえた。

 風の強い日は馬が荒れるという。外敵の接近をいち早く察知するため極端に発達した聴覚が、狂わされてしまうからだ。烈風にも動じなかったナカヤマナイト。その走りに梅崎は強じんな精神力を感じた。

 安田記念は12着大敗。「時計が極端に速い東京の馬場は合わなかった」と振り返った同師は充実ぶりを強調する。「悪い時は歩様がゴツゴツするが、今はそんな様子も見られない。安田記念後の回復が早く、馬体減りするどころか、張りを増してきた」。列島に居座る活発な梅雨前線がもたらした6月の嵐。西日本では大雨となり阪神のターフも悪化させた。“道悪の鬼”ナカヤマナイトに反転攻勢の風が吹いている。

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2013年6月20日のニュース