【根岸S】メイショウマシュウ 強烈末脚で初重賞!ダート界に新星

[ 2013年1月28日 06:00 ]

根岸S、セイクリムズン(一番奥)、ガンジス(その手前)との激闘を制し重賞初制覇のメイショウマシュウ

 ダート界に新星登場だ。フェブラリーSの前哨戦「根岸S」が27日、東京競馬場で行われ、5番人気メイショウマシュウが強烈な末脚を繰り出し、1番人気ガンジスを鼻差で撃破。12戦目、初の重賞挑戦で見事にタイトルを奪取した。管理する沖芳夫師(63)は、調教助手時代に手掛けた牝馬の子孫で、02年以来のJRA重賞Vを決めた。

【レース結果】

 一瞬の隙を突き、メイショウマシュウが伸びてきた。後方2番手のインでじっくりと脚をタメ、直線へ。ラスト200メートル。トウショウカズンとダイショウジェットの間にできた、わずか1頭分のスペースをスルリと抜けた。この時点で前で粘るガンジス、セイクリムズンとはまだ4馬身差。鞍上・藤岡佑が懸命に手綱をしごくと、みるみる差を詰め、ゴール前で鼻差捉えてV。上がり3Fは最速、芝並みの34秒6をマークした。

 レース後の検量室前。「(藤岡)佑介にやられたか」と、2着ガンジスの矢作師が悔しそうにこぼし、鞍上はパートナーの背筋をポンと叩いた。

 「正直、届いているか分からなかった。よく頑張ってくれた。しまいは切れると聞いていたし、じっくりいこうと決めていた」

 鞍上は初コンビで、初めての重賞タイトルをプレゼント。沖師にとってJRA重賞制覇は、あのナリタトップロードでの02年京都大賞典以来となった。「縁のある血統で勝ててよかった」。師の脳裏に32年前の記憶が鮮やかによみがえった。

 マシュウの曽祖母オオシマスズランは、沖師が大久保石松厩舎の調教助手時代に手掛けた馬だった。桜花賞前に4戦3勝の成績を残したがクラシック登録がなく、当時は追加登録も不可能だったため桜出走を断念した。

 81年4月5日、桜花賞当日に同じ阪神マイルで行われた4歳牝馬特別を4馬身差で快勝。桜花賞をブロケードで制した柴田政人騎手(現調教師)が「あの馬が出ていなくてよかった」とつぶやいたと伝えられる。「幻の桜花賞馬と言われたんだ」。沖師は当時を懐かしんだ。そんな経緯もあって沖厩舎へと入ったマシュウ。スズランによる、32年後の恩返しだった。

 次走はフェブラリーS(2月17日、東京)が有力。師は「レース前に使う予定はなかったが、これで選択肢の1つになる」。藤岡佑は「道中は追っつけながらの追走だったし距離は延びても大丈夫。大舞台でもいい競馬をしてくれる」と太鼓判を押した。スズランはG1級のレースを勝てずに引退したが、子孫の手によって、その無念を晴らそうとしている。

 ◆メイショウマシュウ 父アドマイヤマックス 母オオシマパンジー(母の父スキャン)牡5歳 栗東・沖厩舎所属 馬主・松本好雄氏 生産者・北海道浦河町大島牧場 戦績12戦6勝 総獲得賞金1億1697万8000円。

続きを表示

この記事のフォト

2013年1月28日のニュース