【朝日杯FS】アクティブ ムーン産駒G1一番乗りだ!

[ 2011年12月14日 06:00 ]

<朝日杯FS>父アドマイヤムーン譲りで鋭い末脚のレオアクティブ

 G1舞台で再びワンツーなるか。「第63回朝日杯FS」に京王杯2歳S1、2着馬が駒を進めてきた。新種牡馬アドマイヤムーン産駒のレオアクティブは、前走で上がり3F33秒6と父譲りの末脚を発揮、鮮やかな差し切りを決めた。父に初のG1タイトルを贈るか。サドンストームは兄のラッキーナインが国際G1香港スプリントを制してが然、注目の存在となった。昨年に続く京王杯組のワンツーも十分だ。

 最後方からの鮮やかな追い込みで重賞Vを飾ったレオアクティブだが、レース直後の杉浦師はG1挑戦に慎重だった。京王杯2歳Sを含め連対した4戦はいずれも1400メートル以下。3走前に今回と同じ中山マイルの芙蓉Sに出走したが、見せ場なく7着に沈んだ。「まるっきり勝てる感じがない内容だったからね。折り合いの問題もあるし、1F延びて同じ脚が使えるかどうか…」。だが、騎乗した横山典は正反対の意見。「乗り役が“距離は大丈夫。持たせる”と言ってくれた。ノリが乗ってくれるなら使おうと」。名手の進言にも後押しされ、G1挑戦を決断した。

 重賞制覇はもちろん、競走馬としてレースに出走していること自体が奇跡かもしれない。昨年6月、育成調教を受けていた浦河育成センターで火災が発生。厩舎1棟が全焼し、入厩していた8頭中6頭が死んだが、救出された2頭のうちの1頭がレオアクティブだった。九死に一生を得た愛馬だが、杉浦師にはもう1つ、特別な思い入れがある。「レオの先代が、当歳で購入を決めた馬。忘れ形見だからね」。91年菊花賞馬レオダーバンなどを所有した田中竜雨氏は、アクティブを購入した直後の09年6月に死去。愛馬の活躍を天国から見守っている。

 デビューから6戦のキャリアを積み、幼かった気性も徐々に改善しつつある。「右へ左へと、どこかへ飛んで行ってしまいそうな感じだったが、最近は真っすぐ走れるようになってきた。下見所でも落ち着いてきた。レースを使いながら気性が成長してきた点は悪くない」。トレーナーは慎重に言葉を選びながらも、確かな進歩を感じ取っている。「思いだけで馬が走るわけじゃない。でも、そういう馬が勝ってくれたらうれしいね」。奇跡の重賞ウイナーは、携わった人々の思いを背に、G1の大舞台に立つ。

続きを表示

この記事のフォト

2011年12月14日のニュース