【有馬記念】ローズキングダム、武豊も納得12秒6

[ 2010年12月23日 06:00 ]

ローズキングダムは鞍上に武豊が乗り坂路を駆け上げる

 「第55回有馬記念」(26日、中山競馬場)の追い切りが美浦、栗東両トレセンで行われ、世代交代を狙う3歳馬が好仕上がりをアピールした。ジャパンCを繰り上がりで制したローズキングダムは坂路で鋭い動きを披露。G1連勝へ態勢を整えた。

 数字以上に大きく見せる馬体と鋭い動きが、目下の充実ぶりを物語っている。ローズキングダムの最終追いは武豊を背に、坂路でツルマルスピリット(3歳1000万)と併せ馬。4F52秒4~1F12秒6で楽に1馬身先着した。
 馬場が悪かったことを考慮して、脚を伸ばしたのは最後の100メートルだけ。数字的にずば抜けているわけではないが、気配は文句ない。感触を確かめた武豊も「いい動きだったと思う。菊花賞、ジャパンCの時も良かったが、きょうも良かった。疲れは感じない」と納得の表情を浮かべた。
 前走・ジャパンCは直線でローズキングダムの進路を妨害したブエナビスタが降着となり、2位入線から繰り上がりV。不利を受けてブレーキをかけた後に立て直して猛然と伸び、ヴィクトワールピサをとらえたことがタイトルを呼び込んだ。武豊は「いい根性をしている。最後まで走り切ってくれる」と長所を口にする。ジャパンCだけではない。東京スポーツ杯2歳Sも神戸新聞杯もしかり。競り合いにはめっぽう強い。
 橋口師も「まれにみる精神力、勝負根性がある」とした上で、春との違いも強調する。「以前は馬体が大きくないから威圧感がなく半信半疑のところもあったが、今は違う」。ひと夏を越して馬体が大きく成長。秋3戦はダービー時(440キロ)を20キロ以上も上回る馬体重で出走した。「春にこの体で使えていたら」と“ないものねだり”をするほどだ。
 鞍上・武豊も頼もしい。今年前半は負傷に泣いた名手は「いろいろあった年だけど、最後に有馬を勝てればうれしいね」と意気込んだ。
 ジャパンCで不利がなければ勝敗がどうなっていたかは分からない。ただ、有馬記念でブエナビスタを下してG1連勝を成し遂げた時、ジャパンC優勝の価値がより大きなものとなることは間違いない。05年にハーツクライでディープインパクトを破っている橋口師が「(ブエナは)ディープではないと思っている」と言えば、武豊は「今度は邪魔されたくないですね」と締めた。すっきりした勝利で世代交代を完結させるつもりだ。

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2010年12月23日のニュース