的中は幻に…船橋で全頭入線後「競走除外」

[ 2010年12月9日 06:00 ]

全馬競走除外で競走取りやめとなった8日の船橋競馬4レースの全額返還を示すモニター

 船橋競馬で8日、珍しい競走取りやめが発生した。12頭立ての4Rで3号馬がフライング。カンパイとなったが、発走委員の合図が遅れたため全馬がそのままゴール。競走能力喪失と判断され全馬競走除外。3742万7500円の売り上げは全返還となった。

 午前11時50分に事件は起こった。1頭だけ早くゲートを出て、直後に各馬スタート。カンパイで、本来はすぐに発走委員が赤い旗を振り、走路の先で白い旗が振られ騎手たちに合図が送られるが、初期動作が遅れたため白い旗の係員は正常発走と思い、その場を離れていた。モニターには赤い旗が振られる映像が流れていたが、騎手に気付くすべはなかった。馬券は全返還となったが船橋本場は平穏で、船橋競馬場によれば各場外での混乱もなかったという。
 06年4月に高知で1頭ゲートが開かずカンパイ、途中まで競走が続行されて取りやめたが、今回のような全馬入線後の取りやめはNARにも記録は残っていない。船橋の川島正行調教師会長(63)は「記憶にない。今回は完全に発走委員のミス。ファンに迷惑をかけないよう慎重にやらなければいけない」と語気を強めた。主催者も「発走委員の合図が遅れたため」と原因を明確化。鈴木正明開催執務委員長は「ファンの皆様、並びに関係者の皆様にご迷惑をおかけしましたことに対し、深くおわび申し上げます」とした。

 ▽カンパイ 競馬で公正な発走ができなかった際にもう一度スタートをやり直すこと。語源は外国人スターターが出走馬に「カムバック(戻れ)」と指示したのが、こう聞こえたためと言われている。一般的に発馬機の故障や誤作動、発馬合図前にスタートするフライングがあった時に起こる。

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2010年12月9日のニュース