【マイルCS】カンパニーに宿る“御用達”母の血

[ 2009年11月18日 06:00 ]

 【藤井正弘の血統総研】種牡馬入りが決まった秋の天皇賞馬カンパニーがラストランを迎える。8歳にして本格化した驚異の成長力の源泉と思われる「母の父ノーザンテースト」は、サッカーボーイ(88年)、デュランダル(03、04年)、ダイワメジャー(06、07年)と、過去3頭が5勝というマイルチャンピオンシップにおける最強のブルードメアサイヤー。血統データ的にも、秋の2戦で勝負づけの済んだ相手に後れを取ることは考えにくい。チェックすべきは初対決の3歳馬、あるいは外国勢ということになるだろう。

 トライアンフマーチは制御不能の競馬で凡走が続いているが、最後方で折り合いがついた皐月賞では素晴らしい追い込みを見せた。母キョウエイマーチは12年前、3歳時に挑んだこのレースでタイキシャトルの2着に逃げ粘った馬。マイル路線転向で一変の含みを残す血統といえる。もう1頭の3歳馬フィフスペトルは、昨年の2歳チャンピオンサイヤー・キングカメハメハの産駒。この父の産駒は本年JRA重賞未勝利だが、2歳チャンピオンサイヤーが翌年に重賞勝ち馬を出せなかったケースとなると、89年のターゴワイスまでさかのぼらなければならない。英3冠馬ニジンスキー3×3という母の血からも見限るのは早い。
 歴史に残る不条理展開となったエリザベス女王杯でも、フランスのシャラナヤは国際レーティング119の片りんを見せた。サプレザの国際レーティング118も、今回のメンバーでは実質No・2。これは侮れない。父サームは、ミスタープロスペクター×英愛オークス、英1000ギニー勝ちの名牝サルサビルという良血種牡馬。母ソープレサは、阪神スプリングジャンプ勝ち(外)ファイブポインターの半妹にあたる。母の父プレザントタップはムラでも、ここ一番で長打のあるリボー血脈だ。
 格的には一枚落ちる(国際レーティング112)エヴァズリクエストは、95年から99年まで日本で供用されていたソヴィエトスターの産駒。ちなみに3代母シェイドは、63年12月に日本に輸入された4代母サマータンが英国に残してきた唯一の牝馬である。日本では活躍馬が出ず、3代で途切れてしまった牝系で、5世代で福島記念勝ちのセフティーエンペラを出すのが精いっぱいだった父ともども、今回の来日は“血統的再チャレンジ”というわけだ。短期免許のホープだった鞍上ムンロもハマリ役で、因縁の激走にかけてみたい気もする。(サラブレッド血統センター)

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2009年11月18日のニュース