1着ブエナビスタ

[ 2009年4月13日 06:00 ]

<桜花賞>逃げるレッドディザイア(左)に大外から襲い掛かるブエナビスタ(左から2頭目)驚がくの差し切りでまず1冠

 ブエナ、まず1冠!09年クラシック第1弾「第69回桜花賞」が12日、阪神競馬場で行われた。単勝1・2倍の圧倒的支持を集めたブエナビスタが、直線で外ラチいっぱいに進路を取っての差し切り勝ち。上がり3F33秒3という驚がくの末脚で強さを見せつけ、2つ目のG1タイトルを手にした。手綱を取った安藤勝は49歳16日でのクラシック制覇で、これまでの記録(伊藤勝吉=48歳9カ月23日)を69年ぶりに更新した。

 女王の勝利を信じて見ていた人々はハラハラしたことだろう。ブエナビスタは好スタートを切りながらも道中は後方2番手。4コーナーでもまだ後ろ。直線入り口で前がふさがり、切り替えた進路は外も外、外ラチすれすれだった。
 「馬が強いのは分かっていたけど、最後は力だね」
 結果的に安藤勝は、最も強さが映える乗り方を選んだ。
 「土曜くらいまで迷っていたんだ。中団から馬群をさばくことも考えたが、外を回すいつもの競馬の方が安全だからね。能力は一枚上だと思っていたし、確実な方にした」
 ヒヤヒヤのシーンも、ある意味で安藤勝が練ったシナリオに沿っての演出。位置取りを下げたのも、直線大外のコース取りも、大胆に見えて計算の内。ゴール前、先行する相手も大きなコースロスも関係なく、主演女優が力強く差し切っての大団円だ。
 「今まででどれくらいの脚を使うかは分かっていたから。最初から外に出すつもりでいた。思った以上に随分外になったけどね」
 安藤勝は苦笑しつつも、自らが信じるブエナビスタの強さを証明する勝利を、満足げに振り返った。
 前半3Fは34秒9という追い込みに向かないペースも、上がり3F33秒3の剛脚を繰り出せば問題ない。追い出すと、すぐトップスピードに入り、先に抜け出したレッドディザイアを一瞬で抜き去った。
 「並んだ時には、もう負けないと思ったよ」
 末脚の切れもさることながら、前にいる相手を抜こうとする闘争心に安藤勝も感心しきりだ。
 圧巻の桜花賞勝利でまず1冠。続くオークスに向けて視界は大きく開けた。
 「精神的にどっしりしている。3歳牝馬にしては珍しい。牡馬以上のものがあるね。折り合いにも問題ないし、マイルより距離が延びた方が競馬しやすい」
 主戦の見方に指揮官・松田博師も「もともとおとなしい馬だし、距離が延びるのはこの馬にはいいだろうな」と同調する。
 オークスではどんな演出がなされるのか。もう一度、ブエナビスタの強さと美しさに酔うことになりそうだ。

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2009年4月13日のニュース