名手が語るダービージョッキーの条件とは…

[ 2008年5月30日 06:00 ]

 【東西厩舎発 栗東29日】上岡は雨の栗東で岡部幸雄元騎手を目撃した。JRA関係者とともにスタンドへ。JRA通算2943勝を挙げた名手の背を迷わず追った。視線の先では関係者と調教を見ながら談笑する岡部さん。「別に話すこともないんだけどな」と渋る中、なんとか取材を開始。聞けば年1度開催されている若手騎手向けの研修で講師を務めるために訪れたのだとか。早速、ダービーの話題を振る。まずは見どころを。

 「どの馬にもチャンスがあるんじゃないの。飛び抜けた馬がいないから。皐月賞馬がいないのは残念だけど、関係者はみんな虎視眈々(たんたん)でしょう」
 語り終えるとニヤリ。そして「ダービーデーにはみんながワクワクするような響きがあるね」と目を輝かせた。無敗ロードを歩んだ84年のシンボリルドルフで単勝1番人気(130円)の重圧をはね返したかつての名手も、第三者として大一番を楽しんでいるような風情だ。では、混戦で騎手に求められることは?
 「冷静になることが一番じゃないの。自分の競馬をすることでしょう。目標になる存在もいないし、自分の持ち味をいかに発揮するかを考えるところじゃないかな」
 ここで移動時間となり、取材終了。背筋が伸びる思いの中、何とかコメントを引き出せた。名騎手の言葉は味わい深い。願わくばダービー当日は、各馬が持ち味を存分に競い合える良馬場で。上岡は雨空に祈った。

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2008年5月30日のニュース