「ばけばけ」ながら見は困難?髙石あかり“不意の涙”5分超長回し 宍道湖夕景は一発撮り!演出語る裏側
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女優の髙石あかり(23)がヒロインを務めるNHK連続テレビ小説「ばけばけ」(月~土曜前8・00、土曜は1週間振り返り)は26日、第65回が放送され、年内最後のオンエアで主人公・松野トキと英語教師レフカダ・ヘブンの想いがついに通じ合う姿が描かれた。制作統括の橋爪國臣チーフ・プロデューサー(CP)とチーフ演出の村橋直樹監督に舞台裏を聞いた。
<※以下、ネタバレ有>
「バイプレイヤーズ」シリーズやNHK「阿佐ヶ谷姉妹ののほほんふたり暮らし」など会話劇に定評のある、ふじきみつ彦氏がオリジナル脚本を手掛ける朝ドラ通算113作目。松江の没落士族の娘・小泉セツと、その夫で日本の怪談を世界に紹介した明治時代の作家・小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)をモデルに、怪談を愛してやまない夫婦の何気ない日常を描く。
第65回は月照寺からの帰り、松野トキ(髙石あかり)は松野銀二郎(寛一郎)からプロポーズ。レフカダ・ヘブン(トミー・バストウ)はイライザ・ベルズランド(シャーロット・ケイト・フォックス)から、2人で一緒に海外で滞在記を書かないかと誘われる…という展開。
トキは銀二郎、ヘブンはイライザを同じ宿泊先の花田旅館に送り、帰途に就く。
トキ「大亀の後、どこ行きました?」
ヘブン「イエ」
トキ「ヘブンさんの…」
ヘブン「オヤスミナサイ」
トキ「おやすみなさい」
トキは松江大橋からヘブンを見送る。2人とも別れがたい。ヘブンの姿が見えなくなると、トキは不意に涙。「えー…」と自ら驚く。着物の両袖で涙を拭うトキの姿を、銀二郎が2階の部屋から目撃。そこへイライザが現れる。
イライザ「私とあなたは一緒ね…」「一緒…」
銀二郎「イエス」
2人はそれぞれ身を引く決心をした。
ふじき氏の作劇も冴え渡るが、台詞のないシーンも秀逸な今作。“ながら見”には適さない作りが、この日は特に目立った。
村橋監督は「八雲とセツさんという“言葉ではないところで分かり合ってきた夫婦”を描く上で、言葉で伝え合うお芝居はトーンが合わないと最初から考えていました」と切り出し、朝ドラの歴史も踏まえ、狙いを説明した。
「連続テレビ小説は当初、モノローグドラマだったんです。“この人は今、こういう感情になっています”とナレーションが入るので、家事をしながら見ることができました。そこから直接的な心情表現が朝ドラの伝統になった部分もあると思います」
朝ドラ第1作「娘と私」(1961年)は、もともとラジオドラマ。NHK文化放送研究所の資料(2020年)にも「1人称で書かれた、原作者・獅子文六の自伝的要素が強い作品で、『私』が語るナレーションを多用したドラマとなった」とある。
視聴形態も配信へとシフト。「ながら見できるコンテンツはテレビドラマの役割ではなくなっていく、時代によって連続テレビ小説も変わっていい、という僕なりのテーマを持って今回は臨んでいます」と明かした。
トキが松江大橋で涙したシーンが最たる例。台本のト書きに涙の指定はなかった。
「髙石さんには具体的な演出をつけず“しばらくカットはかけません”と伝えて、僕が5分以上カメラを止めなかった場面がこのドラマに2つあります。一つは第65回のこのシーン、もう一つは第31回(11月10日)でトキがラシャメンとして生きるしかないと川の土手を歩くシーン。第65回はヘブンが去った後にトキが何を思うのか。瞬発力もある役者さんですが、髙石さんの深部にある気持ちが表に出てくるところを収めたかったんです。本編で使っている涙を流すカットまでに3分ぐらいかかりましたが、髙石さんも撮影後に“なんで泣いちゃったのかな。ヘブンさんのことが好きだったんだ”と。言葉のやり取りではないお芝居を見事に体現してくださいました」
ラストの夕景は、実際に宍道湖でロケ。日没を待つため、湖畔には1時間半ほど滞在。一発撮りだが「“なかなか日が暮れないね~”と言いながら、時間との闘いや慌ただしさはなく、豊かな時間を過ごすことができました」。撮影自体は10分もかからなかったという。
「もうトキとヘブンの気持ちは分かっているので、表情のアップを映す蛇足かなと、遠くから撮りました。八雲がそこにある蕎麦屋から眺めるのが好きだったという、ほぼ同じ方向です。手をつなぐ以外、お二人への演出は特になく、目の前にある美しい光景をシンプルに収めました。人知を超えた自然を背景に、2人を遠くから見つめる終わり方にしたかったので、天候に恵まれてよかったと思います」
トキとヘブンと結婚は最初のプロットから折り返し付近で描く構想だったが、橋爪CPは「ここまできれいに年内最後の放送を締めくくることは狙っていませんでした。あまりにも美しく終わったので、何だか最終回のような雰囲気もありますが、年明けから2人の結婚と、結婚生活を描きます。今までの朝ドラよりゆっくりと物語を紡いできましたが、ありがたいことに好評のご意見をたくさん頂き、我々の目指していることが伝わっているんだと、感謝しています。後半戦もペースは変わりませんが、引き続きお楽しみいただけると幸いです」と呼び掛けた。
年末年始を挟み、来年1月5日から第14週「カゾク、ナル、イイデスカ?」に入る。
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