ビートルズ 至福の「イン・マイ・ライフ」未発表テイク 「アンソロジー4」に収録

[ 2025年11月27日 11:00 ]

ザ・ビートルズの4人 Photo by Bruce McBroom(C)Apple Corps Ltd
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 【牧 元一の孤人焦点】聴くと、とても幸せな気分になる。大好きな曲で、子供の頃から数百回聴いているが、これは初めて耳にする音源だ。ザ・ビートルズの新たなアルバム「アンソロジー4」に「イン・マイ・ライフ」の未発表テイクが収められている。

 「イン・マイ・ライフ」は1965年発売のアルバム「ラバー・ソウル」収録曲。ジョン・レノンが自らの経験を基に作詞、作曲したとされるが、後年になってポール・マッカートニーが曲作りの多くを自分が担ったと主張し、真相はいまなお不明だ。それはともかく、心に響くその歌詞とメロディーによって世界中の多くの人々に愛される名曲であることは論をまたない。

 レコーディングが行われたのは1965年10月、ロンドンのEMIスタジオ。ビートルズの4人はテイクを3回重ね、「ラバー・ソウル」ではテイク3を採用した。

 「ラバー・ソウル」の「イン・マイ・ライフ」を改めて自宅のオーディオで聴いてみると、左のスピーカーからジョージ・ハリスンのリード・ギター、ジョンのリズム・ギター、ポールのベース、リンゴ・スターのドラムが聞こえ、右のスピーカーからジョンのボーカル、ポールのハーモニー、ジョージ・マーティンのピアノが聞こえる。

 「アンソロジー4」に収められているのはテイク1だ。自宅のオーディオで聴くと、ポールの「ワン、ツー、スリー、フォー」のカウントで始まり、テイク3とは異なりドラムの音がほぼ中央で聞こえる。ジョンのボーカルとポールのハーモニーは右側から少し中央寄りに。間奏にピアノの音が入っていないため、左側からのギターとベースの音がより生々しく聞こえる。ジョンとポールの歌唱の完成度はテイク3より低いものの、加工されていない分、より鮮明で、一直線に胸に届く感じ。ライブを聴いているようでもあり、現在の最新技術が生み出す音質の高さを感じる。目を閉じて聴けば、4人が演奏するスタジオに紛れ込んだかのようだ。

 「アンソロジー4」のCDは2枚組。全36曲で「アイ・ソー・ハー・スタンディング・ゼア」で始まり「ナウ・アンド・ゼン」で終わる。未発表テイクは「イン・マイ・ライフ」のほか、「恋におちたら」「夢の人」「ひとりぼっちのあいつ」など計13曲。

 このアルバムを聴いていて感じるのは、一つのバンドを長年にわたって愛し続けることの至福だ。

 振り返ってみれば、今からおよそ50年前の小学生の頃に「ヘイ・ジュード」「レット・イット・ビー」のアナログ・シングル盤を買い、それから通称「赤盤」「青盤」を購入し、そして、「プリーズ・プリーズ・ミー」から「アビイ・ロード」「レット・イット・ビー」までのアナログ・オリジナル・アルバムを買いそろえた。

 CDの時代になればCDを買い集め、それで終わることなく「アット・ザ・BBC」や「アンソロジー」シリーズ、「ライヴ・アット・ザ・ハリウッド・ボウル」、さらにはドキュメンタリー映像「ゲット・バック」や各アルバムのリマスター盤など、次々と新たなコンテンツを求めてきた。

 新しく出るものを聴くたびに新たな感動を得る。「アンソロジー4」もその一つ。彼らの魅力の無尽蔵を物語るかのようだ。まだ底が見えない。楽しみは続く。次の出合いは…。

 ◆牧 元一(まき・もとかず) スポーツニッポン新聞社編集局文化社会部。テレビやラジオ、音楽、釣りなどを担当。

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