【岸本加世子 我が道24】「丈ちゃん」へのラブレター 世界王者と家族ぐるみの付き合い

[ 2025年11月25日 07:00 ]

辰吉丈一郎さんに宛てて書いたエッセー「一途」
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 網膜剥離という眼病を抱えながらも55歳になった今も現役のプロボクサーで、「浪速のジョー」の愛称で親しまれる元WBC世界バンタム級チャンピオンの辰吉丈一郎さんとは家族ぐるみのお付き合いをさせてもらっています。

 私の方が大ファンになり、2004年5月に「一途」(集英社)という辰吉さんに宛てたラブレターのような本まで書いてしまったほど。親しみを込めて「丈ちゃん」と書かせてもらいますね。

 興味を持ったきっかけは、たまたま家でゴロゴロしていた時にテレビで見たドキュメンタリーでした。丈ちゃんを男手ひとつで育てた父・粂二(くめじ)さんのパジャマ姿が印象に残っています。そんな父と息子の絆を描いた内容で、ぐっと引き込まれました。

 その番組は1994年12月4日に名古屋で行われた薬師寺保栄さんとの王座統一戦を前に放送されたものでした。日本中が注目した大一番には激闘の末、判定で敗れてしまった丈ちゃんですが、ますますファンになり、それから試合を観戦するようになったんです。

 もちろん、つてがないからお会いする機会もなかったけれど、思い切って雑誌で対談したいと申し込んでみました。するとなんと快く受けてくださって、大阪まで飛んでいきました。

 99年1月に52歳の若さでお父さんの粂二さんが亡くなられた直後のタイミングでした。20分ほど遅れてやってきた丈ちゃんは財布の中から亡き父の運転免許証を取り出して見せてくださり、ボロボロと涙をこぼされました。父と子の絆、生い立ち…そういうものに触れてますます好きになり、それから日を置かずして丈ちゃんの家族とも交流させてもらうようになりました。

 書き下ろしエッセーは「辰吉丈一郎と岸本加世子 深夜の長電話」と「一途」の2章立てで組み立てました。毎晩のように続けた電話での取材攻勢で得た情報をもとに、丈ちゃんの亡き父への想(おも)いと、私の亡き母への想いを交錯させたもので、一生懸命に書かせてもらいました。

 この本が出版された時はまだ7歳だった次男の辰吉寿以輝くんが父と同じ道を歩んでいるのです。15年4月16日にデビューして以来、19戦17勝(10KO)1敗1分けの好成績。今年6月の試合でも圧勝して頑張っています。

 いまだに「辰吉応援団」の絆は強く、寿以輝くんの試合のたびに、ファンの皆さんが幟(のぼり)を持って全国から駆けつけます。ファンの方は私のことも知っているので、「岸本さん、入場!入場!」とあおられて、私も喜んで行進の列に加わるんですよ。

 ◇岸本 加世子(きしもと・かよこ)1960年(昭35)12月29日生まれ、静岡県島田市出身の64歳。77年、テレビドラマ「ムー」で女優デビュー。以降、テレビ、舞台、映画、CMなどで幅広く活躍。ドラマ「あ・うん」、舞台「雪まろげ」、北野武監督の映画「HANA―BI」「菊次郎の夏」など代表作多数。著書に小説「出てった女」、エッセー「一途」など。

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