グレン・ミラー・オーケストラ、戦後80年の年の日本ツアー

[ 2025年9月1日 20:14 ]

「グレン・ミラー」日本公演のパンフレット
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【佐藤雅昭の芸能楽書き帳】知人に誘われて8月31日午後、すみだトリフォニーホールで行われた「グレン・ミラー オーケストラ ジャパン・ツアー2025」東京公演に足を運んだ。

 1801を有する客席がぎっしり。1964年に初来日してから61年になるが、その人気には改めて舌を巻く。来日メンバーは、テナーサックス奏者でボーカルも兼ねる音楽監督のエリック・スタブナウをはじめ、トランペット4人、サックス4人、トロンボーン4人、ドラムス、ベース、ピアノ、ボーカル各1人の計17人編成。来日が32回目という猛者から初めてのフレッシュさんまでバラエティー豊かで、とりわけボーカルのジェニー・スウォイッシュの華やかなパフォーマンスには耳だけでなく目も奪われた。

 「ムーンライト・セレナーデ」から幕を開けたステージに満員の観客も最初からノリノリ。「真珠の首飾り」「チャタヌーガ・チュー・チュー」「イン・ザ・ムード」など楽団の大ヒットナンバーに加え、ジョージ・ガーシュインの「ラブソディ・イン・ブルー」なども盛り込んで聴き応えのあるプログラムだった。終演後、最前列でノリノリだった少年に、ドラマーがスティックをプレゼントする心温まる一幕もあった。

 カウント・ベイシー、ベニー・グッドマン、デューク・エリントンらとともにビッグ・バンド・ジャズを代表するバンドリーダーに挙げられるトロンポーン奏者のオルトン・グレン・ミラー。自らの楽団を結成したのは1938年だ。すぐさま数々のヒット曲を生み出したが、行く手には第2次世界大戦という暗雲が立ちこめ始めていた。

 グレン・ミラーは42年に陸軍航空隊に入隊。慰問演奏に力を注いだが、44年12月15日に英国からフランスに向かう途中で搭乗した小型機が消息を経ち、その日が命日になっている。

 没後10年後の1954年に「グレン・ミラー物語」が公開されている。監督はアンソニー・マン。ジェームズ・スチュアートとジューン・アリソンが夫婦役で共演。数カ月前に確か「懐かしの洋画劇場」で放送されていたのを思い出した。

 54年といえば、日本では黒澤明監督の「七人の侍」や本多猪四郎監督の「ゴジラ」が公開されているが、ともに白黒作品。美しいカラー映像がまぶしかった「グレン・ミラー物語」に、当時の映画ファンは国力の違いを感じたかもしれない。

 8月27日の広島・上野学園ホールから始まった日本ツアー8公演(プライベート含む)は9月7日の新潟・長岡市立劇場まで続く。戦後80年の節目の年。ある意味、戦争犠牲者とも言えるグレン・ミラーの魂が宿るオーケストラのステージに意義深いものを感じた。

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