映画監督・丈明かす 父・石ノ森章太郎を語らなかったワケ「父は“俺を頼らずに1人で生きなさい”と…」

[ 2025年8月9日 07:00 ]

映画「ハオト」を監督した丈(撮影・望月 清香)
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 俳優で映画監督の丈(59)が監督を務めた映画「ハオト」が8月8日に公開された。丈の父は「仮面ライダー」「サイボーグ009」などで知られる漫画家の石ノ森章太郎さん。丈はこれまで明かしてこなかった父との秘蔵エピソードを明かした。(望月 清香)

 父・石ノ森さんは「漫画の王様」と称された漫画界のレジェンド。丈は物心ついたころから机に向かう父の姿を見てきた。「父は夜中もずっと机にかじりついていた。作品を作っているのが当たり前の風景でした」と振り返る。一方で、家族の前では優しいお父さんだったという。「怒ったところを見たことがない。僕たちに説教をする時は感情的に怒るのではなく、ちゃんと諭してくれました。人間としても本当に凄くできた人でした」と明かした。

 「自分も物をつくりたいと思わせてくれたのは間違いなく父」。尊敬する父と同じ芸術の道を目指して、15歳の時に大衆演劇「梅沢武生劇団」で初舞台。その後、劇団「JOE Conmapny」を旗揚げし、出演の他に脚本・演出を手がけた。俳優として、演出家としてキャリアを積んでいった。

 しかし、丈はこれまで石ノ森さんについてあまり語ってこなかった。その背景には、石ノ森さんと交わした約束があった。「父は“俺を頼らずに1人で生きていきなさい”とずっと言っていた。遺言でもありました。だから父の名前は絶対に出すまいと思った。父のことは頑なにしゃべりませんでした」。

 約束を守るため、友人に石ノ森さんの話題を求められても口を開かなかった。日本大学芸術学部時代の同級生のお笑いコンビ「爆笑問題」が丈に石ノ森さんの息子であることを問い詰めてボコボコにされたというエピソードがあるほど。丈は「あいつらはすぐ話を盛るんですよ」と笑い飛ばしながら、「それくらい父の話を避けていましたね」と話した。

 心境に変化が生まれたのは60歳を目前にしたことがきっかけ。「父が亡くなったのが60歳。元々、父が生きた年になるまでは約束を守ろうと思っていた。父が生きた60歳になったら父のことをしゃべろうと思っていました。これからは父のことを発信する機会は増えていくと思います。今はオープンでいようという気持ちです」。肩の荷を下ろしたような朗らかな笑顔を浮かべた。

 丈は2021年に「7 NANA」で映画監督デビューし、現在は監督業を中心に活動している。最新作「ハオト」では太平洋戦争末期の精神科病院を舞台に戦争の狂気を描いている。「実は父も映画監督になりたがっていたんです。父の影響で映画の世界に身を置いています。父の夢でもあった映画の世界で父のように引き出しの多いアーティストになりたいです」と抱負を語った。

 ○…石ノ森さんは生前、丈の舞台をよく見に来ていたという。丈は「何も言わずにそっと見に来てくれていました」と明かした。さらに、「父はよく藤子不二雄A先生を連れて来てくれました。2人はお互いお酒が好きで気が合ったみたいです。藤子・F・不二雄先生は毎回1人で当日券を買って来てくれていました」と告白。トキワ荘のレジェンド漫画家たちが丈の活躍を見守っていたことを明かした。

 ◇丈(じょう) 1966年(昭41)1月29日生まれ、東京都出身の59歳。80年に大衆演劇「梅沢武生劇団」で初舞台。その後、劇団「JOE Company」を旗揚げし、出演の他に脚本・演出を手がける。90年スタートのTBSドラマ「HOTEL」シリーズなどに出演。2021年に映画監督デビューした。血液型B。

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