映画監督・丈 「ハオト」21年越し映画化きっかけは高嶋政伸 「戦後80年の夏に作品の意義を伝えたい」

[ 2025年8月8日 07:00 ]

映画「ハオト」を監督した丈(撮影・望月 清香)
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 俳優で映画監督の丈(59)が監督を務めた映画「ハオト」がきょう8月8日に公開される。太平洋戦争末期の精神科病院を舞台に戦争の狂気を描いた作品。丈は「戦後80年の夏に多くの人に作品の意義を伝えたい」と語った。(望月 清香)

 今作は2005年に東京・本多劇場で初上演した作品の映画化。舞台上演当時は映画化の構想はなかったという。映画化を目指すきっかけとなったのは、TBSドラマ「HOTEL」シリーズで共演以来、親交のある俳優の高嶋政伸の一言。丈は「高嶋政伸くんが舞台の『ハオト』を見て、“この作品で映画を撮りたい”って言ったんですよ。僕はそれまでこの作品が映画になるなんてこれっぽっちも思っていなかった。彼の一言で映画を凄く意識しました」と明かした。

 高嶋の言葉を受け、丈は「20年計画」で動き出した。2015年に新宿・紀伊國屋ホールを皮切りに全国ツアーを敢行。「全国の人に少しでも『ハオト』という作品を覚えてもらいたいという気持ちで種を蒔いていきました。20年後に必ず映画にしようと決めて計画を練ってきました」。初演から20年が経った戦後80年のこの夏、念願のスクリーンに漕ぎ着けた。丈は「ここまでしっかり計画してて大事にした作品はない。凄く大切に育てた感覚がある」と、ひとしおの喜びを語った。

 映画に登場する精神科病院には、戦争や軍を批判して精神病扱いされた元エリート海軍兵(原田龍二)や原子爆弾開発間近に解離性同一性障害になった荒俣博士(片岡鶴太郎)らが患者として集められている。丈は「目の前で家族が殺さることが日常茶飯事の戦時下では人の考え方は簡単に変わってしまう。精神病院を舞台に塀の外と中のどちらが狂気なのかを問いたかった」と説明した。価値観が揺らいでいく人間の脆さを描きながら、正義とは何か、狂気とは何かを問いかける。

 舞台の初演から20年が経ったが、ストーリーに大きな変化は加えなかったという。「20年前も今も戦争は終わってない。どこかで必ず悲惨なことが起こっている。悲しいことに、10年後も20年後もこの作品が意義のある作品であり続けてしまうのではないかと思います」と神妙な面持ちで語った。

 また、俳優陣の演技を「キャスティングがうまくいった」と絶賛。物語の鍵を握る多重人格者役で出演し、ユーモアを交えながら複数の人格を演じ分けた片岡に対し、「“好きにやってください”と言ったら好きにやってくださりました。すごく役を作り込まれる方です。おちゃらけているように見えて、1つ1つの演技に意味を持たせていて感心しました」と敬意を払った。

 「1人でも多くの方にこの作品を目にしてもらいたいです」。丈は平和への祈りを込めながら今作をアピールした。

 ◇丈(じょう) 1966年(昭41)1月29日生まれ、東京都出身の59歳。80年に大衆演劇「梅沢武生劇団」で初舞台。その後、劇団「JOE Company」を旗揚げし、出演の他に脚本・演出を手がける。90年スタートのTBSドラマ「HOTEL」シリーズなどに出演。2021年に映画監督デビューした。血液型B。

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