北村匠海が語る、朝ドラ「戦争シーン」の覚悟 撮影中「昼は乾パン1枚」水も飲まず…リアルを追求

[ 2025年6月18日 08:30 ]

インタビュー

連続テレビ小説「あんぱん」第58話。嵩(北村匠海)(C)NHK
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 俳優・北村匠海(27)が、NHK連続テレビ小説「あんぱん」(月~土曜前8・00、土曜は1週間振り返り)で「アンパンマン」生みの親・やなせたかしさんをモデルとした柳井嵩を好演している。やなせさんの生涯を語る上で避けて通れないのが「戦争体験」だ。奇しくも今年は戦後80年。北村は戦争体験をリアルに伝えるため、当該シーン撮影中は「昼食は乾パンのみ、水も飲まない」で挑んだという。北村に、戦争シーンを演じる覚悟を聞いた。(中村 綾佳)

 「やなせさんの戦争体験は、著書を通して知りました。この体験は、のちの『アンパンマン』を語る上で欠かせないと思い、役者としてリアリティーを持って伝えなければという思いで臨みました」と北村は語る。

 今は国民的キャラクターとなったアンパンマン。お腹を空かせた子供たちに自分の顔を与える“異質のヒーロー”が誕生した背景には、やなせさんの戦争体験がある。

 やなせさんは日中戦争中の1940年、21歳で徴兵された。その後太平洋戦争が勃発。弟を亡くし、自身も出征した中国で飢えを経験した。

 この戦争を通して「本当の正義とは何なのか」を考え続けたやなせさん。そして長い月日をかけてたどり着いた答えが「飢えた人に一切れのパンを与えること」だった。

 ドラマでは、この答えにたどり着くまでの夫婦の道のりを描いていく。北村は役作りにあたり、やなせさんの著書を何冊も読んだ。その中で、まだ食べ物が豊富にあった時期と、水も飲めない出征先の中国での体験と、同じ戦争中でも差があることを知った。

 「戦争=飢えだと単純に考えてはいけない。最初のうちは食料もあって、兵隊として訓練もしているので、やなせさんは結構がっちりとした肉体なんですよね。そこから少しずつ少しずつ食料が不足していって、乾パン3つが1つになり、そして最終的には尽きてタンポポの根まで食べたりする。その体の変化を表現するために、鍛えた後に一時的に絶食をしました。これまでも役のアプローチとして体重の増減は取り組んできましたが、今回は戦争ということでより追い込みました」

 一番飢えが過酷だった中国遠征シーンの撮影中には、実際に「昼食は乾パン1枚、水も控えた」というほど。さらに走り込んで汗を流し、体から水を抜いたという。

 「大事なのは、それが画面にどう映るか…というより、自分たちのメンタリティーの問題だと思っています。実体験に近い状態にならないと、説得力は生まれない。お芝居というのは決して真実にはなれないので、どこまでリアリティーを持って表現できるかと日々向き合っています。特に今回は、みんなが知る『アンパンマン』が生まれるに至ったやなせさんのエピソードなので、できる限りのリアリティーを持って向き合いたいと思って臨みました」

 そんな並々ならぬ覚悟で、徹底した役作りで挑んだ撮影。実際に軍服を着たときは、言葉にならない感情に襲われた。

 「初めて軍服に袖を通したとき、戦争は『悪』だと心から思いました、本当に。それは演じてる僕ら全員の中にリアルに漂っています」

 軍事所作指導を受ける間も緊張感が漂う。「戦争シーン撮影中は、全てが大変ですね。芝居もずっと感情を殺さなければいけない。少しでも腑抜けた瞬間があると指導される世界だし、声量も含めて、姿勢から何一つとっても個性というものがなくなるんです」。飢えた体で挑んだ容赦ない軍事シーンで、よりリアルな映像に仕上がった。

 リアリティーを持って臨んだからこそ、わかったことがある。

 「嵩は戦争の中で規律や軍隊の訓練、戦地で経験したこと、敵や仲間の死などに直面して、成長ではなく、達観していったのだと僕は解釈しました。それが、あのみんなから愛される『アンパンマン』につながったのかな」。

 今年は戦後80年。戦禍の記憶が薄れつつある中で「今、この時代に記憶をつないでいくために、僕らにしか出来ないことがあると思っています」と北村。私たち視聴者がその強い覚悟とメッセージを受け止めて、やなせさんが主張した「平和な世界」を考えるきっかけとなることを願う。

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