朝ドラモデル・暢さんはどんな人?やなせさん元秘書明かす素顔 当時女性で“異例”キャリア「凄い人」

[ 2025年5月9日 09:15 ]

やなせスタジオ代表・越尾正子氏(提供)
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 NHK連続テレビ小説「あんぱん」(月~土曜前8・00、土曜は1週間振り返り)で今田美桜(28)演じるヒロイン・朝田のぶのモデルとなったのは、アンパンマンの生みの親・やなせたかしさんの妻・暢さん。作中では「ハチキンおのぶ」と男勝りな性格で描かれているが、実は暢さんの資料は少ない。やなせさんの秘書を20年以上務め、暢さんとも茶道を通じて親交があったやなせスタジオ代表取締役・越尾正子氏は暢さんを「凄い人」「ドラマになってもいいと思っていた」と語る。その知られざる“素顔”を聞いた。(那須 日向子)

 <※以下、ネタバレ有>
 「女性の生き方として暢さんがドラマになってもいいと思っていた」。そう語ったのは暢さんと長年親交があった越尾氏。主人公のモデルとなった暢さんの“素顔”を知る一人だ。趣味の茶道を通じ暢さんと知り合い、その縁で1992年に「やなせスタジオ」に入社。秘書として20年以上にわたり、やなせさんの作家活動を支え、2014年から現在まで同社代表取締役を務めている。

 同作と同じく父を早くに亡くし、戦中戦後と激動の時代を駆け抜けた暢さん。「実際にはお兄さんがいらっしゃるんですけど、長女として自分がしっかりしなくちゃいけないっていう考えだった」。終戦直後も「女性一人で生きなくちゃいけない」と覚悟を決め高知新聞社に就職する。

 暢さんが入社した頃は、終戦直後のため男性は少なく「みんな戦地に行っていて、まだ復員してきてなかった」という。「だから高知新聞も女性を登用しましょうっていう意味で、いち早く2人の女性記者を入社させて、そのうちの1人だった」。後に、高知新聞社に入社してくるやなせさんと出会うことになる。

 その後、暢さんは代議士の秘書になるため高知新聞社を退社し上京。武器だった速記の技術を買われ「“東京でに議員秘書になってほしい”と請われて東京に行く。当時としては勇気のいることだったと思う」と思いをはせる。

 今や女性が転勤をしたりキャリアを重ねたりするのは珍しくないが「その頃はまだまだ“女性は家にいるもの”という根強い社会の感覚があった時代。そこを乗り切って東京へ出る」決断に感嘆する。

 そんな暢さんと出会ったのは茶道教室でのこと。暢さんは先生のアシスタントで50代、越尾氏は20代の生徒という関係だった。長年親交を深め92年、その縁で越尾氏は「やなせスタジオ」へ入社する。

 するとすぐに暢さんから「会社の通帳や銀行の実印、貴重な財産が記録されたものをポンと渡されて“じゃあこれお願いね”って」と疑うことなく任された。金庫の鍵の置き場所や暗証番号までもスラスラと教えてもらい「こんなに任されて大丈夫なのかなって、自分でも気になるぐらい」と戸惑いを隠せなかったという。

 ついに「もし私が悪い人だったらどうします?」と尋ねた越尾氏。すると返ってきた言葉は「もしあなたが悪い人だったら、自分に見る目がなかったと思って諦める」。

 「それ聞いた時に凄い人だと思いました。普通だったら“悪いことは絶対しないでね”と言うと思う。でもそういうことを言える女性なんだ」と器の大きさに感服。「それがハチキンにつながるかなってその時思いました」と力を込める。

 真の“ハチキン”とは何なのか。暢さんには「しっかり相手を立てる。誰にでも強くガンガン言うのではなく、権力者や会社の偉い人など力を持っている人が理不尽なことをすると“それはいけない”と言える」芯の強さがあったという。「気持ちのいい女性だなと感じます」と目を細めた。

 のぶの快活な姿が回を増すごとに話題になる「あんぱん」。暢さんの“ハチキン”な人生に思いを寄せながら毎朝注目したい。

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