春風亭昇羊 自費出版エッセー「ひつじ旅 落語家欧州紀行」が増刷 師匠の昇太も太鼓判「面白い!!」

[ 2025年3月12日 07:30 ]

紀伊國屋書店新宿本店に置かれた自著を指さす春風亭昇羊(本人提供)
Photo By スポニチ

 落語家の春風亭昇羊(34)の自費出版による著書「ひつじ旅 落語家欧州紀行」が話題となっている。500部刷った初版は完売。自費出版では異例の増刷となり、東京・池袋のジュンク堂書店池袋本店、新宿の紀伊國屋書店新宿本店など大型書店でも販売されている。演芸界の名手がこぞって、その文才を称賛しており、出版界からも注目されている。昇羊にどんな思いを込めたのか、聞いてみた。(前田 拓磨)

 「ひつじ旅 落語家欧州紀行」は昇羊が昨年7月にオーストリア、ドイツ、ベルギーを巡った体験を記したエッセー。師匠の春風亭昇太(65)が帯の推薦文で「昇羊、面白い!!なるほど、旅はネタの宝庫だ!」と面白さに“太鼓判”を押し、講談師の神田伯山(41)は「40ページ読んだ段階で面白い。凄い文才だ」と自身のSNSに感想をつづって絶賛。ほかにも、浪曲師の玉川太福(45)、兄弟子の春風亭昇々(40)らから高評価の声が上がっていた。

 昨夏、日本人舞踊家のパリ公演に帯同して行う予定だった落語会が中止になってしまい、繰り広げられたのは欧州珍道中。航空券を購入済みだったため、とりあえずパリに渡り、ツテをたどって旅しながら落語会を行う10日間の“単独ヨーロッパ落語ツアー”に切り替えた。初めての海外渡航。「僕にとっては人生初の海外でもあり、初めてづくしでどうなるかと思うことがたくさん起きました。日本にいては出会えない人、文化の違い…。こうしたことを書いておきたくてエッセーにしました」。本を出すことが夢の一つでもあったため、自費出版で500部を用意した。

 落語界でも独特の視点が面白いと評価されている昇羊。ベルギー・ブリュッセルでの公演の打ち上げで、名物・ムール貝のスープで作ったリゾットを食べた際のテーブルで繰り広げられたなんともいえない人間模様、日本では見かけない格好いい日本人女性のたたずまい、スポーツバーで学んだドイツ語「シュルディグン(ごめんなさい)」の発音など、新進気鋭の落語家ならではのクスリと笑えるエピソードの数々が登場する。

 昇羊は「小痴楽兄さん、伯山兄さん、昇々兄さんなど、大勢の仲間がSNSや楽屋で広めてくださいました。広めたくなるくらい面白いと思ってもらえるのはうれしい」と感謝した。

 もともとは「苦手な団体行動をしなくてもいい」と落語家に魅力を感じ、春風亭昇太の門を叩いた。落語を学ぶ傍ら、人を描くことへの楽しさも抱き、コロナ禍の頃から新人文学賞に応募するなど、文章も書くようになった。執筆にあたっては「心の中を全部書くこと」を重視。「きれぎれ」などで知られる芥川賞作家の町田康氏(63)の「笑いを描くことが人間の本質を描くことにつながる」という言葉を胸にとどめている。

 今後も執筆活動を続け、次は地元横浜の飲み屋街での体験談を書きたいと思っている。「僕自身はお酒は飲めないのですが、野毛の界隈(かいわい)や相鉄線沿線の飲み屋さんで、ちょっとのお酒と肴(さかな)をつまみながら見たこと、それを本にしたいです」

 今回は自費出版だったが、夢はさらに膨らむ。「自費出版はお金の面でも、準備の面でも大変なので、次は出版社から出せたらいいなと思っています。この本を知ってもらって、やりたい文筆の仕事をさらに広げていけたら」。出版関係者も「自費出版でこの反響はすごい。人間観察が素晴らしく、今後の作品も楽しみだ」と熱視線を送っている。2023年NHK新人落語大賞決勝に進むなど、本業の落語でも評価を高めている昇羊。独特の視点を持つ今後の執筆活動にも注目だ。

続きを表示

この記事のフォト

「美脚」特集記事

「中居正広」特集記事

芸能の2025年3月12日のニュース