「帝劇」第2章に幕 さらばミュージカルの聖地 59年間の思い出とともに また幕が上がる日まで――

[ 2025年3月1日 05:00 ]

出演者とゲストで「民衆の歌」を歌唱する市村正親(前列中央)ら(撮影・大城 有生希)
Photo By スポニチ

 演技とミュージカルの聖地として親しまれ、明治時代に開場した帝国劇場が28日、老朽化による建て替え前最後の公演を行った。この日は「THE BEST New HISTORY COMING」の大千秋楽で、えりすぐりの名曲の数々で締めくくった。現在の建物は1966年開場の2代目。59年の歴史に幕を下ろしたが、2030年度の再開場を目指す。(高原 俊太)

 ♪戦う者の歌が聞こえるか…。3時間超えのラストステージを締めくくったのは、ミュージカル「レ・ミゼラブル」の劇中歌「民衆の歌」。1987年に日本初上演されてからずっと愛されてきた演目の歌を、佐久間良子(86)、北大路欣也(82)、鹿賀丈史(74)…。そうそうたるスターたちと、観客が一緒になって歌声を響かせた。

 カーテンコールには60人以上が登場。北大路は「(1970年出演)『スカーレット』で恥をかきながら歌ったことなどいろいろ思い出しました」と振り返り、佐久間も「胸がいっぱい」と感慨に浸った。「SHOCK」シリーズで2128回主演し、国内の単独主演記録1位の大記録を打ち立てた堂本光一(46)は「この場にいられるだけで本当に光栄です!」、市村正親(76)は「感動!!」とあふれる思いを言葉にした。

 現在の劇場は2代目で66年の開場から372の舞台を上演。「風と共に去りぬ」の世界初の舞台化や「屋根の上のヴァイオリン弾き」「ラ・マンチャの男」など日本にミュージカル文化を根付かせた。今回の公演は、これまで上演されてきた53作のミュージカルで歌われてきた「THE 帝劇」「天使にラブソングを」など64曲を披露。井上芳雄(45)、宮野真守(41)ら実力ある俳優と名作に作り上げられた豪華なステージだった。

 3代目は30年度完成予定。市村は92年に初めて立った際に上演したミュージカル「ミス・サイゴン」の劇中歌「アメリカン・ドリーム」を歌い上げた。「まだやれるな。新しい帝国劇場で『ミス…』をやるときはオーディションを受けます!」と誓った。井上は「帝劇、本当にありがとう!僕たちは帝劇が大好きです」と叫んだ。

 幕が下り、観客総立ちのスタンディングオベーションの中「またのご来場をお待ちしております」といつも通りのアナウンス。5年後、帝劇の新たな歴史の幕が上がる。


 ≪観客にとって「青春」であり「温かい」場所≫

 ミュージカルの聖地との別れを惜しみ、多くの観客が劇場前に列を作った。

 1987年に日本初演となった「レ・ミゼラブル」で初めて帝劇を訪れた50代女性は「舞台が広いからこその迫力、臨場感がある。いろんな作品を見てきたこの帝劇は私にとっては“青春”ですね」と魅力を熱弁した。

 劇場内は非日常感を演出するかのようなステンドグラスや大きな階段がある。そんな雰囲気について90年代から通っているという横浜市の50代男性は「重々しく見えるようで一歩踏み入れると凄く温かく感じる。新しい帝劇でもこんな素敵な内観であってほしい」と期待した。

 【帝国劇場の歴史】
 ▼1911年3月1日 日本初の本格的な西洋劇場として開場
 ▼23年9月1日 関東大震災で焼失
 ▼24年10月25日 再開場する
 ▼45年10月 六世尾上菊五郎一座「銀座復興」で戦後最初の公演
 ▼64年 映画「アラビアのロレンス」の上映で一時閉館
 ▼66年9月 新劇場落成で再開場
 ▼同11月 菊田一夫演出の「風と共に去りぬ」開幕
 ▼67年9月 森繁久弥さん主演「屋根の上のヴァイオリン弾き」日本初演
 ▼69年4月 市川染五郎(現松本白鸚)主演「ラ・マンチャの男」初演
 ▼77年8月 蜷川幸雄氏が「三文オペラ」で帝劇初演出
 ▼87年6月 「レ・ミゼラブル」日本初演
 ▼2000年11月 堂本光一主演「SHOCK」シリーズ開始
 ▼22年9月 東宝が建て替えを発表

続きを表示

この記事のフォト

「美脚」特集記事

「中居正広」特集記事

芸能の2025年3月1日のニュース