末成映薫(1)反骨心が生んだ鉄板ギャグ「ごめんやして」 初披露で笑った客2人だけ「継続は力やね」

[ 2024年12月3日 12:10 ]

50年以上吉本新喜劇で活躍してきた末成映薫
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 吉本新喜劇の女性レジェンドといえば、末成映薫(77)が真っ先に思い浮かぶ。在籍50年を超え、「ごめんやして、おくれやして、ごめんやっしゃー」の鉄板ギャグは舞台で聞けない日はない。12月6日には座長公演「生存確認ライブ2~いこいのホテル Oh! ラッハ~ン~」を大阪・なんばグランド花月で開催する。昨年に引き続き2回目で、出演者は全員60歳以上。元気な新喜劇メンバーの象徴でもある大ベテラン女優が役者人生の一端を披露した。(取材・構成 江良 真)

【末成映薫インタビュー(1)】

◆◆ 生活苦しく、日本舞踊の名取から転身 ◆◆

 ―出演者が全員60歳以上という舞台、今回で2回目になります。

 「最近は新喜劇も若い人が増えてきたんでキャスティングも難しいんですよね。でも、未知やすえちゃんが仲間入りしたのでね(笑い)、入ってもらいました。シルクもそうやと思うんですけど、本人が年齢不詳っていうから、入れられへん(笑い)」

 ―(笑い)60歳を超えても新喜劇のみなさん、芸人のみなさんはお元気ですよね。

 「まあ、そうですねえ。でも、超高齢化社会でしょ?3人に1人は高齢者の時代やから。そんな中でなんかパワーみたいなものを皆さんに分けられたら、とは思ってます」

 ―新喜劇に入られて50年以上ですか。女性で途切れることなくそのキャリアを積まれているのは末成さんだけになりました。

 「そうですねえ。吉本新喜劇が65年ですから。そのほとんどを経験させてもらってます。26の時に入らせてもらって」

 ―芸人を目指されたわけではないんですよね?

 「そうなんです。18歳のころに日本舞踊の名取になったので、子どもに教えていたんです。でも2000円の月謝で20人教えても、ぶっちゃけ月4万にしかならんのですわ。ほんで大きな会に出たりすると衣装代とかなんやらで何十万もかかったりするんです。こんなアホなことないわ、と思って22歳で辞めました。それから剣友会に入って刀とか槍とか振ってたら、吉本から舞台に出えへんかって言われました」

 ―当時は昭和の男社会で大変だったのではないでしょうか。

 「まあ、苦労しなかったとは言いません。多くは言わないけど(笑い)。でも、楽と言えば楽でしたよ。笑いをとるのも一部のメインキャストだけで、私らは添え物みたいな感じやったから」

◆◆ 木村進さんとの出会いが役者人生を変えた ◆◆

 ―そこから、どう流れを変えられたのですか?

 「入って10年目くらいやったかな?3枚目したいな、と思い始めたんです。その頃に木村進さん(後に博多淡海襲名、19年他界)と一緒の組になったんです。木村さんはほんとに天才で、どんな役でもできる人でした。中でもおばあちゃんの役がほんますごくて、これをちょっと盗ませてもらおう、と思ったんです。それをやり始めてからですね。いろんな役が来るようになりました。だから、今も続けられてるのは木村さんのおかげやと思ってます」

 ―そして、やはり末成さんと言えば「ごめんやして、おくれやして、ごめんやっしゃー」ですね(笑い)。

 「90年代に入ったころやったと思います。それまで男性の役者さんは玄関前で“ごめんくさい”とか“お邪魔しまんにゃ”とか、いろいろ言うてたんですよ。でも、女子はなんで言えへんのかな?と思って。ほんじゃ私が第1号で言ったれ、と思ったんです」

 ―どこから思いつかれたのですか?

 「3日くらい考えたんですけど、昔のことを思い出してたときですねえ。私、京都や滋賀で育って、スナックとかでアルバイトをよくしてたんです。土地柄、芸妓さんとかがお客さんとお付き合いで入ってきたりしはるんですが、“ごめんやしておくれやして”と言って入ってきはるんです。なんか女性らしいし可愛らしいから、これいけるんちゃうかな?と思って。初めてやってみたのは、今はもうないですけど、うめだ花月でした。“ごめんやして。おくれやして、ごめんやっしゃー”と思い切って言ってみたら、前列の女の子が2人だけ笑ってくれたんです(笑い)」

 ―2人ですか(笑い)。

 「そうでした。でも、反応があった。これはイケると思ったんです。そしたらその後は、座員のみんなもコケたり協力してくれるようになって、徐々に徐々にギャグとして成立するようになりました。なんでも継続は力ですね」

 ―もし、前列の2人が笑ってくれなかったら、継続していなかったかも?

 「そうですね。やっぱあかんか、と思ってたかもしれません。だからあの女の子2人には本当に感謝です」=(2)に続く

 ◇末成映薫(すえなり・ゆみ)1947年(昭22)3月1日生まれ。滋賀県大津市出身の77歳。日本舞踊、的場剣友会を経て26歳の時に吉本新喜劇に加入。以来、一度も辞めることなく看板女優として新喜劇とともに歩き続けている。料理が得意で劇団員に振る舞うことも。若くて独身の座員たちの母親役を買って出ている。2度の結婚歴はあるものの現在は独身。健康への意識も高く「100歳現役」を公言している。2020年1月1日、もっと運勢が良くなるという理由で「末成由美」から改名。

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