写真家・宮本卓さん 恩師に「感謝しかない」 伊集院静さん死去から一夜

[ 2023年11月26日 04:50 ]

ゴルフの聖地、セントアンドリュースのクラブハウス前で全英オープンを観戦する伊集院静さん(宮本卓さん撮影)
Photo By 提供写真

 小説「受け月」で直木賞を受賞した人気作家の伊集院静(いじゅういん・しずか、本名・西山忠来=にしやま・ただき)さんが、肝内胆管がんのため73歳で死去してから一夜明けた25日、故人とゆかりの深かったゴルフ写真家の宮本卓さん(66)が本紙の取材に答え、その死を悼んだ。

 大のゴルフ好きとしても知られた伊集院さん。故人との共著「夢のゴルフコースへ」がある宮本さんは「先生と出会わなかったら自分はどうなっていたか。感謝しかないです」と“恩師”への感謝の言葉を口にした。

 2人の出会いは2001年の冬。米タイム社との打ち合わせでニューヨークに滞在した際、松井秀喜さん(49)の取材で渡米していた伊集院さんと偶然、同宿となった。編集者に紹介され、ホテル2階のバーで顔を合わせると、酒の助けもあって会話が弾んだ。思い切って「先生、僕と世界中を旅しませんか」と切り出すと「いいよ。でも金がかかるぞ」と返ってきた。

 宮本さんは帰国後、学研に2人の旅の企画を提案。この企画が同社の60周年記念事業として採用され、02年ごろから4年間、ペンとカメラとゴルフクラブをバッグに詰めて、2人で世界のゴルフ場を巡った。ゴルフの聖地、英スコットランドのセントアンドリュースをはじめ約100コース。2人の旅は「夢のゴルフコースへ」シリーズ4冊の文庫と1冊の写真集として結実した。

 「ゴルファーはコースレイアウトなどスコアにつながるものに視線が向きがちですが、先生はゴルフ場の景観や草花を楽しみながらプレーしてました。その視線の動きを見ることで僕の写真も変わりました」。宮本さんは写真家としても伊集院さんから大きな影響を受けたという。

 酒を酌み交わしながらの語らいの中で最も心に残っているのは次の言葉と明かした。

 「失敗やしくじりなんて毎度のこと。大切なのは倒れて打ちのめされてももう一度、立ち上がる覚悟を持っておくこと。人はその覚悟を体の中に養っておかなければならない」

 伊集院さんは人生の師でもあった。

 海外では、原稿の締め切りに追われる伊集院さんから「ちょっと読んでみてくれ」と頼まれることもあった。そんな時は伊集院作品の世界最初の読者になることを誇らしく感じた。宮本さんの心には、全てがかけがえのない大切な思い出として刻まれている。

 ◇宮本 卓(みやもと・たく)1957年(昭32)7月10日生まれ、和歌山県出身の66歳。アサヒゴルフ写真部を経て84年に独立してフリーに。国内外のゴルフトーナメントや世界のゴルフコースを撮り続ける。全米ゴルフ記者協会会員、世界ゴルフ殿堂選考委員。「美しきゴルフコースへの旅」、「夢のゴルフコースへ」は世界のゴルフコースを旅するファンのバイブル的著書。

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