信じられないと加藤剛「天下の名医榊原伊織が…」

[ 2011年8月22日 20:13 ]

竹脇無我さん死去

 21日死去した俳優竹脇無我さんと長年にわたり時代劇「大岡越前」(TBS系)で共演した加藤剛さん(73)が22日、追悼文を寄せた。全文は以下の通り。

 無我ちゃんとは30年間親友役を務めてきました。

 「大岡越前」で私が町奉行、無我ちゃんが小石川養生所の医師、榊原伊織役。本当の親友より親しい親友役同士でした。

 本日(22日)喪主になられた竹脇友加さん。無我ちゃんに長女の友加さんが生まれたのは「大岡越前」の撮影が行われていた京都です。私の宿舎の下鴨の方が産院に近かったので、出産のときはお父さんの無我さんより私の方が先に駆け付けてしまって、何とも格好のつかなかった楽しい思い出があります。

 最後に無我ちゃんに会ったのは今年の5月22日でした。私の舞台公演(「月光の海ギタラ」)が行われていた新宿紀伊国屋ホール(東京)です。

 中村屋のおまんじゅうを持ってきてくれ「子どものころ、おやじ(竹脇昌作さん)がよくこれを買ってくれたんだよ」と言いながら、私にではなく、この芝居の主演を私と分け合っていた私の次男(俳優座・頼三四郎)にそのおまんじゅうをくれました。「な、おやじっていいもンだろう」って言いながら。

 「おい、三四郎、おまえの芝居が好きなんだ、ファンだよー。おまえの後援会長になってやるよ」と言ってくれたのに――。三四郎も有頂天になっていましたのに――。

 あの日が無我ちゃんとの別れになってしまうとは、まさか思ってもいませんでした。天下の名医榊原伊織が、自らを助けることなく世を去るとは信じられない思いです。

 いい絵を描いた無我ちゃんでした。彼の個展でかわいい犬(茶色の日本犬)の水彩画を見ました。かつて私の飼っていた犬に似ているので、これを買いました。「余白に何でも好きな文字を入れてやるよ」と無我ちゃんが言うので「犬は黙の中にいる」というフレーズを注文、彼はすぐ筆をとってそれを書いてくれました。

 今、その絵を眺めています。まさに「黙」の中に私は今じっといて、友の突然の死を受け止めかねているのです。

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