田中香織さんの母“望むのは真相究明”

[ 2009年12月6日 06:00 ]

 田中香織さんの母親(53)は5日、岐阜県飛騨市の自宅で取材に応じ「本当のことを知りたい」と訴えた。

 警視庁が再び押尾容疑者の逮捕状を取ったことは前日4日夜、テレビ報道で知り、仏前に報告。「知識がないので譲渡と聞いても意味が分からなかった」と振り返るが、報道陣からの説明やこの日の新聞を読んで理解できたという。「でも、大喜びしたわけじゃない。気持ちは同じです」。望んでいるのはあくまでも真相究明。逮捕されたとしても胸のつかえが取れる訳ではない。
 先月2日、東京地裁で判決を言い渡した裁判官は「信用しがたい」と押尾容疑者の証言に疑問を呈した。「わたしたちも本当だろうかとずっと思ってる。知っているのは押尾さんだけ。亡くなった娘から聞くことはできない。本当のことを話してほしい」。切実な思いを明かした。
 事件以来、仏壇の前で毎日朝晩の読経を欠かしたことはない。近所の寺に墓を建てる予定だが「この辺は寒くて雪が降るとかわいそうだから」と春を迎えてからにする。
 香織さんは生前、勤めていた店や交際していた男性についてなど、家族には包み隠さず話した。「会ったこともないのにその時付き合ってた彼氏を電話で父親に紹介したり、凄くオープンな子だった。でも、押尾さんの名前は聞いたことがない」と表情を曇らせる。
 父親(61)、弟(29)についても事件後は「心の中は普通じゃないけど、寝込んでも仕方ない状況なのに娘が守ってくれてるのかなと思う」。そう言って宙を見つめた。

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2009年12月6日のニュース