結婚せず家族を支え続けた清水由貴子さん…悲しい死

[ 2009年4月22日 06:00 ]

清水由貴子さん

 「お元気ですか」などのヒット曲を持ち、「ユッコ」の愛称で親しまれたタレントの清水由貴子(しみず・ゆきこ)さん(49)が21日、静岡県駿東郡小山町の冨士霊園で遺体で見つかった。硫化水素をかぶったとみられ、遺書もあったことから御殿場署は自殺と断定。そばには母親(77)も倒れていたが、命に別条はない。母親は長年、精神障害を患っており、清水さんは介護を苦にしていたとの証言もある。

 冨士霊園には清水さんが8歳の時に他界した父親の墓がある。5年ほど前に「富士山の見えるところにしてあげたい」と建て直したものだ。同署によると、清水さんは21日午後1時20分ごろ、雨の中、その墓石の前で倒れているところを、同園の男性職員に発見された。
 頭の下には洗面器の入ったポリ袋があり、硫化水素が検出。袋には、複数の液体洗剤などが入っており、自宅から持ち出した洗面器で硫化水素を発生させ、頭からかぶったとみられる。
 手書きの遺書のような紙も持っていた。「消防に通報してください。ご迷惑をおかけします」「東京で葬儀をあげないでください」などと書かれていた。
 同署の調べでは、死後半日以上が経過しており、亡くなったのは前日の20日午後5時ごろ。同日、母親と2人でタクシーで訪れる姿が目撃されていた。同居していた清水さんの妹は「先週末に3人で食事していた時、姉が“お父さんのお墓参りに行ってくる”と言っていた」と話している。
 倒れた清水さんのそばで車いすに座っていた母親は発見時、衰弱して意識を失っていた。すぐに病院に搬送され、命に別条はないという。硫化水素の中毒症状もなく、母親を巻きこんだ無理心中の形跡はないという。
 76年に日本テレビ「スター誕生!」の決戦大会でピンク・レディーを上回る獲得プラカードが上がり、翌77年に鳴り物入りで歌手デビュー。80年代には、ヤクルトのCMで“肝っ玉母さん”を演じ、茶の間に愛された。その素顔は、明るいキャラクターからは想像もつかない苦労人。デビュー3年目に突然、心の病になった母親と妹の面倒を1人でみてきた。
 母親の入院費と妹を育ててくれている伯母への仕送りのために働き続け、10数年前に一家3人で住む夢を実現。その後は順調にみえたが、06年に所属事務所に休業と契約打ち切りを申し出た。理由は、心の病に糖尿病と腎臓病も患っていた母親の介護。「かなり疲れていたようで、“とてもお客さまの前にいい顔をお見せできない”と話していた」という。
 結婚もせず、自分だけの幸せをつかむことなく、一家を支え続けた清水さん。関係者は「あまりに悲しすぎる」と声を落としている。

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2009年4月22日のニュース