秋元氏&宇崎氏サポートで米国人演歌道

[ 2008年2月1日 06:00 ]

演歌歌手としてデビューする米国人のジェロ。ウィル・スミス似のイケメンだ

 米国人の演歌歌手がデビューする。ペンシルバニア州ピッツバーグ出身のジェロ(26)。作詞秋元康氏、作曲宇崎竜童氏によるデビュー曲「海雪」を20日にビクターから発売する。3年前に他界した日本人の祖母と約束したのが演歌への道。「幼い頃からずっと見てきた紅白歌合戦に出たい」と燃えている。

 「演歌を歌うと、おばあちゃんが喜んでくれた。それがうれしくて歌い始めたんだ」。ジェロのデビューに切り離せないのが祖母、多喜子さん(旧姓近藤)の存在だ。
 第2次世界大戦直後、駐留していた米軍兵士レナード・タバ氏と横浜で出会い、結婚。ジェロの母親となる長女モロー晴美さんを出産し、渡米するが、敵国だった米国での生活は苦労の連続だった。
 そんな中、いつも励みに口ずさんでいたのが美空ひばりさんの歌。ジェロも祖母の歌声を通して“遠い異国”の音楽に触れ、心を動かされた。最初に覚えたのは、ひばりさんの「越後獅子の唄」。喜ぶ祖母の笑顔が見たくて次々と覚え、NHK紅白歌合戦の録画ビデオは82年の放送からすべて持っている。
 高校時代はダンスチームのリーダーとして活躍し、地元のピッツバーグ大学の情報科学部を卒業。翌03年に演歌歌手を目指して来日。和歌山県でNHK「のど自慢」に出場、坂本冬美の「夜桜お七」を歌って合格し、デビューを夢見てきた。
 05年に祖母が他界してからもコンピューターエンジニアの仕事をしながら、各地のカラオケ大会に出場。昨年ビクターのスタッフの目に留まり、チャンスをつかんだ。
 デビュー曲「海雪」は、ひばりさんの「川の流れのように」を作詞した秋元氏と、ジャンルを超えて作曲活動をする宇崎氏のコンビ。「あなた追って 出雲崎 悲しみの日本海…」と、歌詞も歌声も聴いただけでは外国人とは決して分からない本格演歌。高音の美しさと甘さに特徴があり、衣装は肩ひじ張らずにヒップホップスタイルで歌っていく。
 そんな新鮮なキャラクターと歌唱力に、若者が集まる東京・渋谷の大手CD店「HMV」が20日に記念イベントを開催することを決定。同店が演歌歌手のデビューイベントを行うのは初めて。ジェロは「若い人たちに演歌をもっと聴いてほしい」と話している。

 ◆ジェロ 本名ジェローム・ホワイト・ジュニア。1981年9月4日、米ピッツバーグ生まれ。03年の来日当初は英会話学校の教師として和歌山県に赴任。その後、コンピューターエンジニアとして大阪で勤務。デビューシングルのカップリング曲はレッツゴー三匹が歌った「東西南北ひとり旅」(作詞山口洋子、作曲吉田正)のカバー。1メートル76、63キロ。

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2008年2月1日のニュース