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大混乱…裁定変更!重岡銀次朗“人生無敗”継続も世界王座奪取ならず涙 ドロー→IBFルールで無判定試合

[ 2023年1月6日 19:40 ]

プロボクシング・IBF世界ミニマム級タイトルマッチ12回戦   同級5位・重岡銀次朗≪無判定試合≫王者ダニエル・バラダレス ( 2023年1月6日    エディオンアリーナ大阪 )

<ダニエル・パラダレス 重岡銀次朗>3R途中、偶然のバッティングにより無効試合になり、悔し涙を流す重岡(撮影・成瀬 徹)
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 IBF世界ミニマム級5位の重岡銀次朗(23=ワタナベ)は同級王者ダニエル・バラダレス(28=メキシコ)と3回2分48秒負傷引き分けで、プロ9戦目での世界王座奪取を逃した。プロアマ通じて“人生で一度も負けたことがない男”にとってキャリア初の引き分けで、世界初挑戦を実らせることができなかった。しかし、その後、裁定が変更され無判定試合に。大混乱の中、後味の悪い世界戦となった。

 2023年最初の世界タイトルマッチで新王者は誕生しなかった。3回終盤、偶然のバッティングからバラダレスが頭部の痛みを訴え試合続行不可能をアピール。レフェリーが試合終了を告げると、会場はため息に包まれた。両手を広げ試合続行をアピールしていた重岡は信じられないような表情を浮かべ青コーナーにうずくまり、悔し涙を流した。当初は3回2分48秒負傷引き分けと発表されたが、IBFルールにより無判定試合と訂正された。

 ジュニア時代は小5から中3までU15全国大会5年連続優勝など約40戦無敗、アマでは高校5冠など57戦56勝1敗、プロでも8連勝。アマ時代の1敗は兄の前日本ミニマム級王者・優大との兄弟対決を避けるための棄権で、事実上の無敗は世界戦の舞台でも継続したが、ベルトには届かなかった。

 無敗のプレッシャーがなかったわけではない。「勝って当たり前と言われてきた。そのプレッシャーが自分をここまで強くしたと思う」。勝ち続けているからこそ、目標を高く置き、自身を追い込んできた。世界初挑戦へ向けて重視したのも王者対策ではなく、ボディー以外の左を磨くことだった。「試合直前になるとやりたいことが見つかる。試合が終わってからでは遅い。今すぐやりたい、試したいと」。先月29日でスパーリングを打ち上げたが、試合3日前までマスボクシングで調整。町田主計トレーナーも「減量疲れがある中で足も良く動いて、攻防の一体感が見られた」と自信を示していた。

 プロ9戦目での世界初挑戦も、デビューからは4年3カ月かかった。19年の大みそかから、1年7カ月ものブランク。新型コロナウイルスの感染拡大で興行の数が減っただけでなく外国人選手が来日できなくなり、元々強すぎて日本人選手から対戦を避けられる重岡は試合を組めなかった。「あの時期が一番荒れていた。世界戦ができると思っていたのに、もうやめようかと」。支えになったのは、兄・優大が黙々と練習に取り組む姿だ。「自分が強くなることだけを考えて打ち込んだ」。ともに世界を目指す兄弟で苦境を乗り越え、精神的に強くなった。

 IBFのベルト奪取を機に、元WBA世界ライトフライ級王者・具志堅用高が持つ13連続世界王座防衛の日本記録更新や、統一王者を目指すはずだった。だが、通過点と位置づけた最初の世界挑戦はまさかの結末となった。

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2023年1月6日のニュース