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谷口 11回TKOで初防衛に成功!リスク背負いながらも体重超過“2階級上”の石沢を返り撃ち

[ 2022年4月22日 21:00 ]

WBO世界ミニマム級タイトルマッチ12回戦   〇王者・谷口将隆 11回2分29秒TKO 同級5位・石沢開● ( 2022年4月22日    後楽園ホール )

<WBO世界ミニマム級タイトルマッチ 谷口将隆VS石沢開>4R、石沢(右)を攻める谷口(撮影・島崎 忠彦)
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 WBO世界ミニマム級王者・谷口が石沢との2年7カ月ぶりの再戦を11回2分29秒でTKO勝ちして初防衛に成功。前日計量で石沢がリミットの47・6キロを2・3キロもオーバーし、挑戦者資格を喪失。石沢の当日計量が両陣営で合意したリミットの50・6キロだったため試合は実施され、負ければ王座が空位となるリスクもあった変則タイトルマッチを制した。

 谷口が昨年12月に獲得した王座の初防衛に成功した。19年9月、判定勝ちこそしたものの「唯一効かされたのはあれだけ」という強打を食らってダウンを喫した相手と、2年7カ月ぶりの再戦。体重超過で挑戦者の資格を失っていた石沢を再び退けた。

 谷口は序盤から実質“2階級上”の体重となった挑戦者のハードパンチに臆することなく冷静なステップワークを披露。もらうと危険な相手のパンチを避けながら適格な左ボディーをクリーンヒットさせていくと、8回からギアを上げる。

 9回には一方的な展開となり強烈な左アッパーからダウン寸前まで追い込むが、挑戦者が意地を見せ激しい打ち合いとなり会場は大盛り上がり。レフェリーがいつ試合を止めてもおかしくない状況となるなか11回2分29秒、谷口の強烈な左フックが決まったところで試合終了。王者のテクニックが光った初防衛となった。

 引き受けるメリットがない対戦だった。前日計量1回目の石沢は2・5キロオーバーで、国内ルールなら再計量すら行われずに試合中止となるケース。前日計量を一発クリアした自身には何の落ち度もなく、規定体重をつくったぶん減量のダメージが大きいにも関わらず、負ければベルトを失うリスクだけを背負った。石沢が再計量であまり体重を落とせなかったこともあり、当初は「やりたくない」と拒否。興行を優先する陣営から1時間“説得”されて了承したものの、完全に納得したわけではなかった。

 ただ、「ここまで体をつくって試合をしないのは、全ボクサーにとって難しいと思う」と闘志は衰えていなかった。規定体重をつくった自身の努力も無駄にするわけにはいかなかった。「減量するための練習はしない」と決め、2カ月前から減量をスタート。菓子や間食をやめ、自身の体に効果的な食材を調べて毎食200グラムの白米を摂取した。納豆とキムチを混ぜたものと鶏肉を主菜に体重を落としながら「最後の最後は本当にきつかった」減量をクリア。「2日前まで試合に勝つための練習ができた。どんな戦い方をされても対応できる準備をしてきた」。3度の黒星を経てつかんだ世界のベルトを離さない決意を証明した。

 ◇谷口 将隆(たにぐち・まさたか)1994年(平6)1月19日生まれ、神戸市出身の28歳。中1でボクシングを始める。神戸第一高―龍谷大。16年4月プロデビュー。18年11月、WBOアジア・パシフィック・ミニマム級王座獲得。19年2月、WBO同級王座挑戦失敗。20年12月、日本同級王座獲得(防衛1)。21年12月、メンデス(プエルトリコ)に11回TKO勝ちでWBO同級王座獲得。1メートル62の左ボクサーファイター。

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