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村田諒太、ゴロフキンと歴史的撃ち合いもTKO負け 9回無念のタオル…日本人初ミドル級2団体統一ならず

[ 2022年4月9日 21:33 ]

<WBA・IBF世界ミドル級王座統一戦ゴロフキン・村田>1R、ゴロフキン(左)と打ち合う村田(撮影・島崎忠彦)
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 プロボクシングのWBA・IBF世界ミドル級王座統一戦12回戦は9日、さいたまスーパーアリーナで行われ、WBA世界同級スーパー王者・村田諒太(36=帝拳)は元3団体統一王者でIBF世界同級王者のゲンナジー・ゴロフキン(40=カザフスタン)に激しい撃ち合いの末に9回2分11秒TKOで敗れ、王座から陥落した。ゴロフキンはIBF王座2度目の防衛を果たすとともに、かつて自身が19度防衛したWBA王座に返り咲きを果たした。

 視線の先には憧れのレジェンドがいる。村田は入場から一点を見つめていた。第1ラウンドのゴングが鳴り響き、重いジャブの音が鳴り響く。そんな緊迫の会場の中心で村田はひるむことなく前に出た。序盤から軽快にコンビネーションを繰り出しゴロフキンとパンチの応酬。そして第2ラウンドは何度も村田の重いボディーが当たり、ゴロフキンは顔を歪めた。第3ラウンドもボディーを中心に攻め込む村田。ゴロフキンは下がる場面もあったが、そこはレジェンド。ショートのフックやアッパーで応戦し早くも会場のボルテージは最高潮に達した。

 ゴングから、鬼神のごとき厳しい表情でパンチを繰り出してきた村田は第4ラウンドも上下のコンビネーションでゴロフキンと撃ち合った。何度も右ボディーストレートをヒットさせた村田に対して、ゴロフキンも速い回転のパンチで村田の顔面を的確にとらえる。第5ラウンドはゴロフキンの圧力が増した。さらに回転の上がった重いパンチが何発も村田の顔面を襲う。しかし村田はゴロフキンから目を離さずに前に出続けた。

 第6ラウンドになってゴロフキンがリズムに乗ってパンチを繰り出す。村田の手数が少し減ったが下がることなく耐えた。第7、8ラウンドともゴロフキンの左フックと右ストレート、アッパーが切れ目なく村田を襲いロープを背負う。そのたびに村田はパンチに耐え前に出た。ゴロフキンも村田のパンチに顔を歪める場面もあり激闘となった。第9ラウンド、最後はどちらが倒れてもおかしくない壮絶な撃ち合いの中、ゴロフキンのパンチに村田がついにふらつき、そのまま力なくリングに手をつきダウン。その瞬間、村田陣営から無念のタオルが投げ込まれ、戦いに終止符が打たれた。

 両者合わせてファイトマネーが推定20億円という日本ボクシング史上最大級のビッグマッチは当初、昨年12月29日に開催予定だったが、新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン株」の世界的流行を受け、政府が水際での強化策として外国人の新規入国を原則禁止としたため、ゴロフキン陣営の入国が難しい状況となって延期。4カ月遅れての実現となった。

 12年ロンドン五輪金メダリストの村田は13年8月にプロデビューし、17年10月に日本の五輪金メダリストでは初めてプロの世界王者となった。ゴロフキンは村田のデビュー時にはすでにWBA王座を8度防衛。当時から目標であり、あこがれでもあり、「強さの象徴」と表現したレジェンド。19年12月のバトラー戦以来、2年4カ月ぶりのリングで「自分が最強であることを証明したい」と強い思いで臨んだが、ゴロフキンの壁は厚く、ミドル級で日本人初の2団体統一王者という目標は果たせなかった。

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2022年4月9日のニュース