井上尚弥「自分自身に気を付けないと」 2年1カ月ぶり国内防衛戦へ調整順調
プロボクシングWBA&IBF世界バンタム級統一王者・井上尚弥(28=大橋)は2日、横浜市の大橋ジムで弟・拓真(25)とのマスボクシングで実戦調整。ミット打ち、サンドバッグ打ちなどで汗を流した。井上は14日に両国国技館でアラン・ディパエン(30=タイ)防衛戦を行う。国内での試合は19年11月以来、2年1カ月ぶりとなる。
井上に現在の調整状況や心境などを聞いた。
―今週初めにスパーは終了した。
「大体こんな時期で、予定通りです。あとはマスで仕上げる感じです。週3回、4ラウンドのペースでした」
―現在の仕上がり、減量状況は?
「順調ですよ。米国2連戦と比較すると、米国はちょっと用心して早めに落としていた2戦でしたね。違いますね、日本の調整は。もちろんやりやすいし、やっぱり食べ物だったりの違いもありますから」
―久々の日本はいいものか?
「2年ぶりに、その良さを感じていますね」
―12月の試合も久々だが。
「17年の12月の後は18年は10月で19年は11月、20年は10月ですから、久々ですね。12月の試合はやっぱりいい。大みそかだとちょっと(苦笑)。12月14日だと大仕事を1つ終えてまだオフモードの段階で年越しを迎えられる。これが10月や11月だと練習も年内に始まっているし。今回は年末をフルに楽しめますね。1月3日まで休んでというプランが立てられるので久びさにいいなと思います」
―調整は冬が好き
「自分は冬の方が好きなので。夏だと汗の出過ぎとオーバーワークですね。身体的にも精神的にもかなり良い状態に仕上げていることができています」
―タイ人挑戦者には全員KO勝ちしている。
「データ的にはそういうのが残っているので、自分的には気にしていなくても、どこかにちょっと残ったりしているから」
―ディパエン警戒点は?
「ディパエンのどこを気をつけるというかというよりも、自分が自分自身に気を付けないといけない。相手のここ、というところがあるわけではないですが、自分が今の自分を把握して、理解する。コンディション、気持ちを含めて自分が1番理解する必要がある」
―なぜ、そう思うか?
「この間、あの(3団体統一ライト級タイトルマッチの)ロペス―カンボソス戦を見ましたけれど。生ではないです。昨日見たのかな、いろいろなコメントがあったので、どんなものかなと気になってみた。ロペスも24歳。ああいうところもやっぱりあるんだなと。言いように言うなら、ロペスはロマチェンコに勝ったけれど、自分自身を分かっていないというか、過信しすぎていた。あれが1番怖いですね。自分も、周りの今回の試合に対する予想など、いろいろな声もあるが、早く倒すというような雰囲気に乗っかってスタートからそういう気持ちでいったら本来のボクシングはできない。対戦相手が誰でもいつも通りの試合を心掛けたい」
―ロペスは序盤から猛攻していた。
「ロマチェンコを倒した次だから楽々と倒そうというところがあったと思う。そこに自分の落とし穴がある。ディパエンどうのこうのではなく、自分の気持ちの方なのだと思う。この試合をこの時期に見ることができて、自分の精神コントロールというか『あ、ここが落とし穴だな』というのがあった。ボクシングはクールに冷静にいかないといけないなと思いました」
―今回はテレビ中継でなく、ペイ・パー・ビュー(PPV)だが、変わることは?
「そこで試合が変わったり、コンディションが変わることはないです。自分が100%望んでの流れではないし。ビジネスなので。自分以外の周りのプロモート関係が決めていることなので、自分はいつも通り。試合することが仕事ですから。地上波で流す、PPVでやるというのは僕が決める仕事ではないです(笑い)」
―スパーリング数は?
「100ラウンドいかないぐらいですね」
―ここからの調整は?コロナ変異株のこともあるが。
「感染者が減っていますが、まずは対戦相手が無事に来日したことに無駄にしないように残りの日々を感染に気をつける。気を抜きたくない。これで前日に陽性になったら、もともこもないので。試合ができなくなる、中止になる緊張感は常にあるので。怖いですよね」
―「リードパンチで倒す」のコメントが話題になっている。
「自分の発言は本当にリードパンチで倒すのではなく、それぐらいの実力差をみせるという意味です。ただジャブで倒す準備もしています。ジャブは強化されているし。もともと左は得意ですからね」
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